研究課題/領域番号 |
20K09209
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
堀 佳江 金沢医科大学, 医学部, 特定技術員 (00845068)
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研究分担者 |
加藤 伸郎 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10152729)
伊藤 哲史 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (90334812)
小野 宗範 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (30422942)
山本 亮 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (30447974)
古山 貴文 金沢医科大学, 医学部, 助教 (20802268)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 疼痛 / ドパミン / 縫線核 / 中脳水道灰白質 |
研究実績の概要 |
疼痛治療の革新には、痛覚受容・調節のメカニズム解明が不可欠である。中枢性の疼痛制御の場として、これまでに分界条床核(BNST)や扁桃体中心核(CeA)が報告されており、この両者は縫線核領域に存在するドパミン(DA)ニューロンから強い投射を受けている。本研究の目的は、これまであまり注目されてこなかった縫線核領域DAニューロンが、疼痛に関わる脳領域BNST/CeAの活動をどの様に調節し、疼痛を制御しているのかを明らかにする事である。今年度はDAT-creマウスにAAV8-hSyn-FLEX-GCaMP7fを導入し、飲水行動時恐怖条件付け中に縫線核領域DATニューロンの活動が各刺激提示に対してどのように応答するのかを調べた。結果、当初の予想通り、縫線核領域DATニューロンは恐怖条件付け中の侵害刺激提示のみに反応し、条件付け刺激等には反応しなかった。このことは縫線核領域DATニューロンは侵害刺激および痛み成分のなんらかの構成要素をコードしていることを示している。また、この領域のDATニューロンの疼痛反応への影響を調べるために6-OHDAを縫線核領域に注入し、縫線核領域DATニューロンを脱落させた。このDATニューロン脱落マウスで温痛覚反応の変化をテストしたが、コントロール群と比べて疼痛反応の閾値に明瞭な差異は認められなかった。今後6-OHDAの投与量の検討、また他の疼痛関連行動のテスト等を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は行動中のマウス縫線核領域DATニューロンの活動性をGCaMP7fを用いfiber photometryを行うことで安定して測定することに成功した。結果、疼痛刺激に対して縫線核領域DAニューロンが特に強く反応することを明らかにすることができた。また恐怖条件付け時に反応を測定したことで、このDATニューロンの活動変化は学習成分とは独立したものであることを明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針として、侵害刺激提示中のDATニューロンの活動変化だけではなく、投射先であるBNST/CeAでのDAT線維の活動変化もfiber photometryで測定する。加えて遺伝的ドパミンセンサーであるdLight1.1を用いてドパミン濃度の動態も測定する。さらに縫線核領域DATニューロンの活動をDREADDシステムを用いて抑制/促進し、行動への影響を精査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はCOVID-19感染蔓延により一部の実験の遂行に遅れが生じた。全体としては順調に計画は進んだが、遂行できなかった実験を次年度に繰り越して行う。
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