研究実績の概要 |
麻薬性鎮痛薬には個人差があり、必要量予測が重要。OPRM1、酵素やイオンチャネルも薬物感受性への影響が示唆。各種受容体と酵素とイオンチャネルのSNPsがレミフェンタニル(以下レミ)必要量に及ぼす影響を検討、必要量の予測式を策定。(方法)対象は体表手術を受ける患者。唾液・血液を試料にOPRM1、COMT、GIRK2神経栄養因子BDNF、NMDA受容体などのSNPsを解析した。術中レミは術前の血圧・心拍数の値から20%低下までの間に維持、時間当たりの使用量を必要量と判定。統計はSPSSで有意なSNPを検出、レミ必要量の予測式を作成、P<0.05を有意とした。(結果)OPRM1のA118GではAA=19,AG=36,GG=8名。レミ必要量(mg/hour) はGG群(mean±SD,0.62±0.23) でAA群(0.42±0.12) とAG群(0.45±0.16)より高値だった(p=0.016)。GG群の数は[power(1-β)= 0.9]で十分数だった. GIRK2 (rs2070995)ではCC=16,CT=33,TT=14名で、レミ必要量はCC群(0.54±0.23)、TT群(0.37±0.10)、CT群(0.46±0.14)で差があった(p=0.028)。COMTやBDNF、NMDA受容体などのSNPsでは差無し。 (A118G);AA=1,AG=2,GG=3。(GIRK2);CC=3,CT=2,TT=1とし、下記の式が得られた。レミ必要量(mg/hour)=0.182+0.071x(A118G)+0.074 x (GIRK2) (結論)レミフェンタニルの術中必要量の予測式は、A118GとGIRK2遺伝多型からなる。
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