| 研究課題/領域番号 |
20K09223
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| 研究機関 | 大分大学 |
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研究代表者 |
松本 重清 大分大学, 医学部, 准教授 (90274761)
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| 研究分担者 |
李 丞祐 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (60326460)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | 揮発性有機化合物 / 術中バイオマーカー / 急性腎傷害 / 臓器傷害 / 術後合併症 |
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| 研究実績の概要 |
近年、各組織にて産生される揮発性有機化合物(VOCs)は、尿、皮膚、呼気等から検出されることが明らかとなり、各種疾患のバイオマーカーとして認識されつつあるが、周術期の検討は皆無である。周術期では、全身麻酔や手術の侵襲に伴い、細胞の代謝異常が生じると臓器傷害の一因となる。この異常をVOCs測定により早期に検出できれば、可及的速やかに予防策を開始できるため、術後合併症を未然に防ぐことができる。
血中や呼気中のVOCsは低濃度で測定が難しいため、まず高濃度に検出される尿を網羅的に測定してターゲットを同定することにした。前年度に、各種手術患者50名の尿サンプルを研究分担者である北九州市立大学の李教授に送付して、約500種類のVOCsを測定していただいたが、結果の解析に時間を要し2021年9月に一旦終了してディスカッションを行った。その後、さらに詳細な解析を進めることとなり、2023年3月に全ての解析が終了した。その結果、各種手術の術前後で、異なる代謝成分が変化していることがわかったが、特に、消化器癌手術においては、特徴的な所見が認められた。結果の精度を高めるため、詳細な解析と同時進行で、50症例の尿サンプルを追加採取する予定であったが、コロナ禍の影響もあり採取することができなかった。今後、追加サンプル採取を再開する予定である。
最終的には呼気中アンモニアの測定による術中臓器傷害の早期検出法を確立し、さらに、消化器癌手術による新たな所見に関しても再現性が認められれば学会、論文等で発表する予定である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最初に採取した50症例の尿サンプルの解析は一旦終了したが、そのサンプルを用いて、さらに詳細な解析を進める方針となり、2023年3月に全ての解析が終了した。解析の精度を上げるため、同時進行で、50症例の尿サンプルを追加採取する予定であったが、コロナ禍の影響もあり採取することができなかった。今後、追加サンプル採取を再開する予定である。
昨年度の研究で、腎障害ではAmmoniaが関与していることが明らかとなったため、李教授が開発したポリアクリル酸をAmmoniaの検知素子とする水晶振動子ガスセンサを手術室に設置できるように小型化して、各種手術において、呼気Ammoniaをリアルタイム測定する予定であったが、コロナ禍の影響もあり予定より遅れている。
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| 今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究で、腎障害ではAmmoniaが関与していることが明らかとなったため、李教授が開発したポリアクリル酸をAmmoniaの検知素子とする水晶振動子ガスセンサを小型化して手術室に持ち込み、各種手術において、呼気Ammoniaをリアルタイム測定する予定であったが、コロナ禍の影響もあり予定より遅れている。
呼気に出てくるAmmnoniaは尿中や血中よりかなり低濃度である上に、肝腎機能障害がなければ、さらに濃度は低くなるため、センサの小型化と同時に検出精度を高めた機器を開発中である。また、呼気だけでなく、血液や尿も同時に採取して、Ammnonia濃度を比較検討する予定である。
詳細な解析の結果、各種手術の術前後で、異なる代謝成分が変化していることがわかったが、特に、消化器癌手術においては、特徴的な所見が認められた。特徴的な所見の精度をより高めるため、追加サンプルの結果と合わせて解析する予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍に伴う当院の対策として、一時手術制限を行った影響もあり、各種手術の尿サンプルの追加採取ができなかったため、測定等に要する費用が少なくなった。今後、尿サンプルを追加採取するため、測定に必要なキットなどの購入が必要となる。
肝腎機能との関連が示唆されたAmmoniaに関しては、李教授がポリアクリル酸をAmmoniaの検知素子とする水晶振動子ガスセンサを設計していただいたが、小型化と同時にさらなる検出精度の向上のため、それに伴う物品費が必要となる。完成したら各種手術において、呼気Ammoniaをリアルタイム測定できるかどうかを検討し、同時に血液も採取して、血中の酸化ストレスマーカーや炎症マーカーも測定して関連性を調べる予定であるが、それらのマーカーを測定するELISAキットなどの購入が必要となる。
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