研究課題/領域番号 |
20K09225
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
水野 祐介 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (80433192)
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研究分担者 |
菅原 陽 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (00596413)
古賀 資和 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (00637233)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肺高血圧 / protein kinase D / 血管平滑筋 |
研究実績の概要 |
Protein kinase Dは細胞骨格、運動、増殖、DNA合成等で細胞内で主要な役割を担い、生理的、病理学的に多数の機能を担う。心血管障害においてPKDは心肥大、心不全の新たな治療標的の一つとされている一方、血管障害における役割は不明な部分が多い。また、肺高血圧患者の肺組織においてPKD活性の上昇が報告され、実験的高血圧動物の血管からもPKD活性上昇が報告されている。 我々は、正常血管平滑筋収縮におけるPKD活性化の関与とその機序について解明を行い、MYPT1リン酸化とactin重合化を介しPKDが収縮に関与していることを見出した。更に正常ラット生体において、PKD阻害剤は血管抵抗と血圧を低下させる一方、心拍出には影響は無かったことから、PKDの血管張力を介した循環への関与の可能性を見出した。この結果をMicrovascular Research 2024:152:104627, Role of protein kinase D1 in vasoconstriction and haemodynamics in ratsとして発表した。 我々は更に、モノクロタリン誘発肺高血圧ラット、培養肺血管平滑筋細胞等において肺血管のPKDの発現と活性が亢進し、PKD阻害剤投与により肺血管弛緩と右室圧低下をきたすことを見出した。肺高血圧症の循環制御として今後発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究結果を上記の如く論文発表を行った。 我々は更に、モノクロタリン誘発肺高血圧ラットの肺血管においてPKDの発現と活性が亢進することを見出している。更に、PKD阻害剤投与により肺血管弛緩と右室圧低下をきたすことを見出した。上記の正常ラットとの対比として、肺高血圧症の循環制御に関する報告を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はこれまでの結果を解析し、論文として発表することに主に注力した。 次年度はこれまでのPKDのラット正常血管、生体における循環動態における役割の解明を更に進め、肺高血圧ラットにおけるPKD活性の制御を介した肺高血圧の循環動態に関する報告を行う予定である。肺高血圧モデル作成のためのラット購入、飼育費、PKD関連経路の各種抗体、PKD阻害剤を購入予定である。肺高血圧症の管理に加え、肺高血圧症発症におけるPKDの関与や発症抑制等の研究につなげていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
正常ラットにおける生体、組織を用いた実験はこれまで比較的順調に進んだ。一方で、肺動脈における組織実験はまだ十分には進んでいない。 今度は肺高血圧ラットの生体、肺血管張力測定、肺血管におけるPKD関連の経路の解明、肺病理標本を用いた免疫組織学的検討を進めていく。
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