研究課題/領域番号 |
20K09227
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
木口 倫一 和歌山県立医科大学, 薬学部, 准教授 (90433341)
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研究分担者 |
歌 大介 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (70598416)
雑賀 史浩 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10644099)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 痛み / 痒み / ミクログリア / 脊髄 / DREADD / 神経障害性疼痛 / アロディニア |
研究実績の概要 |
ミクログリア特異的なCx3cr1プロモーター制御下でCre依存的に変異型ヒトムスカリン受容体3(hM3Dq)または4(hM4Di)を発現するマウスを作製し、Gq-またはGi-DREADDをそれぞれ誘導した際のミクログリア活性および疼痛に及ぼす影響を評価した。 Cx3cr1-hM3Dqマウスの脊髄くも膜下腔内(i.t.)にhM3Dqのリガンドであるclozapine-N-oxide(CNO)を投与してGq-DREADDを誘導すると、足底へのフィラメント刺激に対する逃避閾値が低下し、機械的アロディニアが惹起された。またCNOのi.t.投与により、脊髄ミクログリアの形態的活性化ならびに炎症性メディエーターの発現増加が観察された。 一方、神経障害性疼痛モデルマウスにCNOをi.t.投与してGi-DREADDを誘導すると、機械的アロディニアが抑制されることも明らかになった。このアロディニア抑制効果は、坐骨神経部分結紮ならびに抗がん薬誘発性の神経障害性疼痛において認められ、神経傷害の1ヶ月後でも有効であった。また重要な点として、Gq-およびGi-DREADDによるこれらの疼痛調節効果は雄マウスでのみ顕著に認められるが、雌マウスではその程度が弱く、明確な性差の存在が強調された。 本年度の成果より、DREADD法を用いてミクログリアを双方向性に調節可能であることが示されるとともに、雄の痛みの調節機構にはミクログリアが重要な役割を果たすことが改めて示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、Gq-DREADDならびにGi-DREADDによるミクログリアの機能調節と疼痛との関連性を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
痛みとの差別化を念頭におき、急性または慢性の痒みにおけるミクログリアの役割についてDREADD法を中心に用いて明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
一定の残額があるものの、消耗品費に充てる予定の範囲内であり、次年度に繰り越した方が有効に使用できると判断したため。
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