間質性膀胱炎/膀胱痛症候群は、病因・病態が未だ不明で重症例の一部が指定難病に認定されている。症状としては膀胱の痛みに加え、頻尿、尿意切迫感などの過活動膀胱と類似した下部尿路症状を有しながら、過活動膀胱の治療薬に対しても抵抗生を示すため、有効な治療薬の開発が急務となる。本研究はリポポリサッカライド(LPS)を膀胱内に注入することで作製した慢性膀胱炎モデルラットを用いて、主症状である頻尿、膀胱痛に対するTRPV4アゴニストの改善効果を検討した。これまでの結果として、間質性膀胱炎/膀胱痛症候群モデルラットにおいて、TRPV4アゴニストを膀胱内注入により共刺激することでLPS誘発性の膀胱痛が有意に抑制された。さらに、間質性膀胱炎/膀胱痛症候群モデルラットで観察される頻尿もTRPV4アゴニストの共刺激群において改善された。またこれらTRPV4アゴニストによる改善効果が炎症性ケモカインやM1マクロファージの制御による抗炎症作用に起因していることが明らかになった。最終年度では膀胱組織の炎症所見において、LPS刺激後に膀胱上皮の肥厚や粘膜下層における炎症性細胞の浸潤と肥満細胞数の増加も確認した。TRPV4アゴニストの共刺激群では膀胱上皮の肥厚は軽減され、炎症性細胞の浸潤や肥満細胞数が減少していることを確認した。 以上の結果から、LPS誘発性の間質性膀胱炎/膀胱痛症候群モデルラットにおいてTRPV4アゴニストの共刺激が抗炎症作用により膀胱痛や頻尿を改善することが明らかとなった。
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