研究課題/領域番号 |
20K09233
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
下村 泰代 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (80534031)
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研究分担者 |
西田 修 藤田医科大学, 医学部, 教授 (20208185)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 低酸素誘導性因子 / HIF / 敗血症性DIC / 多臓器不全 / トロンボモジュリン |
研究実績の概要 |
Neutrophil Extracellular Traps(好中球細胞外トラップ:NETs)は、血栓形成を促して病原体の全身への拡散を防ぐことから、自然免疫の一環であり、「免疫血栓」と呼ばれている。しかし、敗血症性DICのような過大侵襲による免疫不制御下では、血栓形成は臓器内の微小血管の循環障害と酸素供給の低下により、臓器不全を誘発する。 Hypoxia-inducible factor(低酸素誘導性因子:HIF)は解糖系関連酵素群の発現を上昇させる機能を持ち、グルコースから代謝・産生されたピルビン酸を乳酸に変換させる。すなわち,HIFの活性化は嫌気解糖を活性化させ,その結果大量の乳酸が産生される。我々は敗血症性DICにおいて、血中乳酸値は予後予測因子となりえることと、ヒト可溶性トロンボモジュリン(rTM)がNET形成を抑制することを明らかにした(J Intensive Care. 4: 48. 2016)。以上のことから、臓器内のNETs形成やHIF活性化と乳酸値の相関性と、それに対するrTMの効果を検討することで、敗血症の病態を研究している。 以前確立したLPS腹腔内投与によるエンドトキシンショックマウスを使用し、ショック後に肺、肝臓、腎臓を採取、免疫組織染色を行った。各臓器でNETsの構成成分であるヒストンの凝集を認めた。心臓採血し、HIFの測定を行った。 敗血症患者の採血は、COVID-19のまん延で集中治療室へのアクセスを控えているため、今後行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19のまん延で集中治療室での患者サンプルの回収が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
エンドトキシンショックマウスから採取した臓器(肺、肝臓、腎臓)内のHIFの発現を、免疫組織染色で確認する。血中の乳酸値、HIF値、各種サイトカインの測定。 敗血症患者のrTM投与前後でHIF値、乳酸値、サイトカイン濃度を測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は、試薬、ピペット、エッペンチューブなどの消耗品の多くが在庫から持ち出せたこととと、ヒトサンプルの処理が少なった。次年度は計画通り消耗品の購入などに充てる。
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