研究課題/領域番号 |
20K09234
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
東 俊晴 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 医師 (60284197)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自己血輸血 / 単球 / 凝固活性小胞 / マイクロパーティクル / 自己血輸血関連有害事象 |
研究実績の概要 |
自己血輸血を目的として採取された保存血液を利用した自己血輸血が手術部管理下に実施された際,廃棄される血液製剤パッケージから保存血液(全血)を回収し,遠心分離を行うことで血漿を得た.また対照として同時期に同施設手術部で施行された濃厚赤血球輸血に際して成分輸血製剤パッケージから同様に血液成分(濃厚赤血球液)を回収し,同様に遠心分離を行い血漿を得た.これらについて,フローサイトメトリーを利用したマルチプレックスアッセイを行い,急性期サイトカインについて網羅的な定量分析を行った. 結果として,製剤血漿中にTNF-αやインターフェロンγといった急性期サイトカインやアレルギー惹起性サイトカイン(IL-4とIL-9)のほかRANTESをはじめとする白血球走化因子が自己血輸血製剤で有意に増加していた. これらのことから,製剤中に白血球が混入することで急性炎症を起こしやすい環境となることが示唆された. また単球性細胞(THP-1)を利用した別の研究により,単球を冷蔵保存することで同細胞のアポトーシス発生比率は有意に増加するが,数時間の室温保存ではアポトーシス発生増加は認められなかった.このことから術中希釈式自己血輸血に該当する血液製剤の短時間室温保存は血液製剤中の白血球アポトーシスに起因する血液凝固を発生するリスクとはならないであろうことが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度の研究進捗への影響としては研究代表者が急性期病院に勤務する医師であるという実態を反映して新型コロナウイルス感染への対応が急務であったことが大きい.この状態は2021年度も継続しているが,研究最終年度までに予定された研究を完遂することは可能だと考える.
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今後の研究の推進方策 |
当該施設における新型コロナウイルス感染への対応はほぼ確立したと考えられるので,今後は研究計画を予定通り進めていく.研究計画は余裕をもって立案されているため,研究最終年度までに予定された研究を完遂することは可能だと考える.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画のうち,臨床研究に関する進捗遅延が発生しているため,そこで使用される消耗品の購入計画が実施されていない.この遅延した研究ついては2021年度以降に実施される計画である.
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