研究課題/領域番号 |
20K09243
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大瀧 千代 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (00742248)
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研究分担者 |
小林 洋 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50424817)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 神経ブロック / ロボット / 組織インピーダンス |
研究実績の概要 |
神経ブロックの精度向上と技術の簡易化を目的とし,電気インピーダンス値 を連続的に測定し,針先の位置(正確には針先がどの組織内を通過している か)を確認しながら進む,神経ブロック支援ロボットシステムの開発を行う. 人間の視覚と技術を超えた人間 には行えないレベルの正確な神経ブロックを実現することを目指す.
麻酔科医師である申請者を中心とし,医用システム(ロボット技術,情報処理技術)の開発を専門とする大阪大学基礎工学部の協力のもと,神経ブロックの精度向上と技術の簡易化を目的とした,針先の位置を確認しながら進む神経ブロックロボットの開発を行う.これまでの研究で既に、各組織の電気インピーダンス(EI)値を測定し,各組織に固有のEI値があることを動物実験において確認している,本研究では,この針先でEI値を感知する技術を使用し,神経ブロックの麻酔投与箇所で針先が 自動的に停止する機能を有するロボットの開発・評価試験に関する研究を実施する.各段階 で各分野の専門家(工学者,医師)と連携することで効果的に開発を進める. 2020年度はこれまでのEI研究のデーターをまとめた上で、ロボットの設計と試作を行った。現在そのロボットのプログラミングを行っており、それが終了次第動物実験に移行する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
組織インピーダンスを測定して神経針の位置確認ができるという仮説に基づく動物実験結果を論文にし学術誌に採択された。Use of Continuous Electrical Impedance Measurement for Accurate Nerve Block in Rabbits. Pain Med. 2021. またこの理論に関する日本国内の特許と国際特許を申請し認定されてた。 一年目はこの組織インピーダンスを測定値をロボットに認識させ、神経ブロック針が神経に接触した時点で自動的に止まるシステムを構築するため、ロボットの設計を行い、その設計図に基づきロボットを作成する予定であったが、現在この段階まで問題なく進んでおり、現在はこのロボットを動物実験に向けて,プログラミングの作業を行なってる。2年目の動物実験による神経ブロックロボットの有効性と正確性の検証に移行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ロボットを動物実験に向けて,プログラミングの作業後、動物実験による仮説の検証を行う予定。動物実験は予定通りウサギを使用して、左右の坐骨神経のブロックが組織インピーダンスを測定してロボットがインピーダンスが変化した時点で神経ブロック針を停止しその時点で染色した局所麻酔薬を注入する事により、正確な神経ブロックが出来るかを検証する。神経ブロックが行えたかどうかは、左右の坐骨神経と注入した局所麻酔薬の組織を凍結して保存し、その組織をクライオスタットで組織片を切り出し、HE染色を施し、局所麻酔薬と神経組織の位置関係を顕微鏡で観察することにより検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ロボットを設計し穿刺装置試作品を発注したが、予想金額より低価格で発注することができた為。 来年度より動物実験を企画している為、そちらの補助に使用すると共に、動物実験大学で試作品の設計の仕直しと再制作の必要が生じた場合、その資本として使用する。
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