研究課題/領域番号 |
20K09245
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
萬家 俊博 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (10230848)
|
研究分担者 |
小西 周 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (30868823)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 麻酔 / 免疫 / プロポフォール / T細胞 / 代謝 / 腫瘍 |
研究実績の概要 |
in vitroの実験に関しては、CD8陽性T細胞へのプロポフォール処理によって、解糖系の代謝が抑制されていることが分かっていた。 マウスの脾臓からnaive CD8陽性T細胞を採取し、プロポフォール50μMの培地で2日間のTCR刺激の後に5日間培養したサンプルにおいて、細胞表面分子の検討では、細胞が活性化した後に静止、あるいは疲弊した状態となる細胞が増加していることがわかった。また、細胞内染色とELISAでは炎症性サイトカインの産生が減少していることがわかった。解糖系の代謝が抑制されていたことから、解糖系に関する遺伝子に関してその発現をqRT-PCRで検討したところ、これに関連した遺伝子の発現に変化が見られた。 in vivoの実験に関しては、卵白アルブミン(OVA)ペプチドを疑似がん抗原として発現する、マウス胸腺腫由来のE.G7細胞を皮下移植することで作製した腫瘍モデルマウスを用いて行った。腫瘍モデルマウスにプロポフォール処理したT細胞を経静脈的に、養子移入したところプロポフォール処理によって抗腫瘍効果は低下していた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画書を作成した際に行った実験と同様の結果が繰り返し得られている。 また、細胞表面分子やサイトカイン産生の検討でも代謝の抑制によるものと考えられる結果が得られ、解糖系に関する遺伝子発現の変化も見られた。 以上より、研究はおおむね順調に進展していると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
CD8陽性T細胞の機能解析に関しては、腫瘍モデルマウスへの養子移入実験において腫瘍内に浸潤したT細胞数や機能を細胞表面分子やサイトカイン、転写因子を指標に検討する。 また、プロポフォールによるT細胞代謝障害を改善することで、腫瘍免疫応答の低下を防ぐ可能性を検討するため、解糖能を亢進させる化合物(AMPK阻害剤など)を用いて解析する。 また、CD4陽性T細胞の機能と分化に関しては、CD4陽性T細胞サブセットをサイトカイン産生や転写因子の発現を指標に評価する。
|