研究課題/領域番号 |
20K09250
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
田口 典子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (90569774)
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研究分担者 |
石井 大典 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (30803291)
中山 慎 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60596443)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 蘇生後脳症 |
研究実績の概要 |
フラボノイドのルテオリンは血液脳関門を通過し、中枢神経保護作用を有する。本研究ではマウスにおける心肺停止モデルでルテオリンの神経保護作用の有無を確認する。現在、蘇生後脳症の有効な治療が確立できない理由として、実験モデル作成が困難な点、長期生存率が低いため遅発性の神経障害、神経炎症、神経新生に対して観察期間が不十分な点があげられる。蘇生14日間の間には既存神経細胞の炎症、消失、神経新生、新生神経細胞の成熟、消失など、虚血後の変性、再生過程が進行していると考えられるので、薬剤がこれらに与える影響を検討する事は予後改善の鍵であると考えた。本研究は虚血後28日の経過を追い、蘇生後脳障害での経時的な病態の変化、それに対する薬剤の作用を検討する。これまで同モデルで28日間の変化を観察した報告は見当たらない。 初年度は行動評価として新規物体探索試験を使用し、記憶障害を生じる心停止時間の検討を行った。蘇生後7日、14日、28日後に行動学的解析、海馬依存性記憶障害の評価を新規物体探索試験で施行予定であった。蘇生後7日の段階では体重の減少、活動性の低下を認め、行動評価に適さないと判断した。そのため、行動評価は蘇生後14日後、28日時点で行った。また心停止時間が5分以上となると蘇生後1週間前後で極端な体重減少、全身状態の悪化を認めた。心停止時間4.5分では生存率は改善したが、蘇生後14~22日で体重減少、全身状態が悪化するマウスがいた。心停止時間4分では蘇生後28日間生存した。今回は行動評価に関して症例数が少なく、ばらつきが多かったため解析には至らなかった。現在海馬の組織像を確認中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究結果と比較し、長期生存を可能にする心停止時間が短かった。これには、心停止中の体温管理が関与すると考えられた。また、4週間の長期生存経過を観察した研究は少ないので、蘇生後比較的長期(2週間前後)生存後に死亡するマウスについては原因の検討が必要であると考えられる。 上記の理由で適切な心停止時間を検討するのに時間を費やした。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこの実験設定で、症例を積み重ねることにより、行動評価、組織評価の分析へとつなげていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の流行のため、実験の長期計画を作成することが困難だった。 生存率を改善するため実験設備の見直しなどに時間を費やした、このため全体として実験の進行が遅く、使用額が予定より少なかった。
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