研究課題/領域番号 |
20K09252
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
西和田 忠 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20649165)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 口腔癌細胞株 / セボフルラン / 細胞増殖能 |
研究実績の概要 |
MTT assayにてセボフルラン2% 6時間暴露が、口腔癌細胞株HSC-3のviabilityを低下させること、LDH assayにてセボフルラン2% 6時間暴露が、HSC-3に傷害的に 作用することが確認された。また、HSC-3のAgrin濃度の測定を行ったところ、セボフルラン2% 6時間暴露によってAgrin濃度の低下が確認された。 セボフルランがHSC-3を抑制するメカニズムにAgrinが関与している可能性を考え、次にコントロール群とセボフルラン2%群間のAgrin濃度の差を計算し、その差 に当たるAgrinをRecombinant Human Agrin Proteinを用いて外的に暴露し同様の実験を行った。しかし、セボフルラン2% 6時間暴露によるHSC-3の抑制効果は、 Agrin存在下に再現性を伴う結果が得られなかった。 セボフルラン2% 6時間暴露によるHSC-3に対する影響について、コロニー形成法による細胞増殖能の評価を行った。その結果、セボフルランによってコロニー形成(細胞増殖能)が障害されることが確認された。 今後セボフルラン単独暴露およびAgrin添加環境におけるセボフルラン暴露の影響について、フローサイトメトリーによるBrdUを用いた細胞周期を含めた細胞増殖能の検討を行うとともに、アポトーシスについてもフローサイトメト リーで調査する予定である。 また、セボフルラン2% 6時間暴露がHSC-3のviability低下、細胞傷害性増加に与える作用のメカニズムとして、Agrin以外の可能性についても検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Agrin暴露による研究が仮説通りに進行しなかった。セボフルランがHSC-3の増殖能を低下させる機序としてAgrin以外の可能性を模索している状況である。それに加え、Covid-19重症患者の診療従事及びCovid感染によるスタッフの減員によって診療に従事しなければならない期間が長く、当初の予定通りに本研究に エフォートを割くことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
HSC-3を用いて再度Agrin添加環境に対するセボフルラン2%の影響について検討するとともに、その増殖能に与える影響を詳細に知るためにフローサイトメトリー を用いて研究を行う。 また、このviability低下のメカニズムとしてAgrin以外の可能性についても文献的に考察し検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19診療のために研究に遅れが生じたことが大きな理由の一つである。 また、Agrin以外の機序について模索する期間が必要であった。
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