研究課題/領域番号 |
20K09258
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
東 みどり子 九州大学, 医学研究院, 准教授 (50315082)
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研究分担者 |
住江 誠 九州大学, 医学研究院, 助教 (60792918) [辞退]
松下 克之 九州大学, 大学病院, 助教 (60794211)
山浦 健 九州大学, 医学研究院, 教授 (70264041)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 術後せん妄 |
研究実績の概要 |
Dexmedetomidine(DEX)による脳内炎症予防効果について実験を行った。前年度から引き続き行っている脳機能障害モデルマウスの作成と並行して、DEXによる脳内炎症の抑制効果についてIn vitro/In vivoでの実験を行い、その効果を検証した。LPSは炎症性サイトカインを誘導し、脳内炎症を引き起こすことで認知機能低下を引き起こすことが知られている.炎症誘導性サイトカインの分泌調節に関与するミクログリアに着目し、DEXによる抗炎症作用の有無を検討した。 1. DEXのマウスミクログリアへの抗炎症作用の検討。胎児マウス由来の不死化ミクログリア株(BV-2)は、リポ多糖(LPS) に対して初代培養ミクログリア株(Primary Microglia:PM)細胞と類似した反応を示すため、PMの代替細胞として頻用されている.BV-2細胞にLPS刺激(10μM)を行う1時間前にDEX (終濃度10μM)を添加し、6時間培養を行った後、RNAを回収し、炎症誘発性サイトカイン(IL-6 ,IL-1β, TNF-αおよびNos)のRT-PCRを行った。結果として、DEXはミクログリアにおける炎症誘導性サイトカイン(IL-6, IL-1β)の発現を抑制することが確認され、ミクログリアに対して抗炎症作用を持つことが分かった。 2.脳内炎症モデルの作成とDEXによる脳内炎症抑制効果の検討。脳内炎症は海馬依存的な記憶を低下させることが知られている。そこで本研究では、海馬における炎症に着目して、DEXによるLPS誘導性の神経炎症抑制効果について検証を行った。LPS投与により、海馬における活性化ミクログリア数の増加(上段)、およびニューロン数の減少(下段)が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳の炎症反応による脳機能障害についてある程度の知見が得られた。今後は行動実験なども行い検証していく。
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今後の研究の推進方策 |
今回の結果は、LPS誘導性のミクログリアの活性と炎症による神経細胞のアポトーシスが起こるとしたこれまでの報告と一致している。また、DEXはLPSカスケードの NF-κB経路活性化の抑制に関与しており、LPS誘導性のミクログリア活性化を同様に抑制する可能性がある。今後は、DEX投与によるIba1+細胞数の定量を行い、DEXの炎症抑制作用についてさらにリサーチを行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
行動実験まで行えなかったため実験動物の経費が少なかった。次年度は計画に従い実験が進むものと思われる。
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