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2020 年度 実施状況報告書

小児のせん妄の成因調査と実態解明に向けた多施設研究およびデータベースの構築

研究課題

研究課題/領域番号 20K09261
研究機関筑波大学

研究代表者

榎本 有希  筑波大学, 医学医療系, 講師 (30649231)

研究分担者 星野 哲也  筑波大学, 附属病院, 病院講師 (00621921)
荻原 重俊  東京都立小児総合医療センター(臨床研究部), なし, 医員 (10867766)
下條 信威  筑波大学, 医学医療系, 講師 (20462210)
壷井 伯彦  国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 手術・集中治療部, 医師 (60754455)
城戸 崇裕  筑波大学, 附属病院, 病院助教 (90868621)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード小児 / せん妄 / 神経逸脱物質
研究実績の概要

プロジェクトA:筑波大学附属病院の小児ICUでのせん妄の発生割合の調査を行った。全体で見るとおよそ6割の小児患者にせん妄が発生していることが明らかになった。今後詳細な検討を加えて公表予定である。
次に、心臓血管術後の小児患者に対して、神経逸脱物質(neuron specific enolase, NSE)の測定とせん妄の出現の関連について検討を行った。せん妄の重症度を加えた意識状態の階層化スコアとNSE値には相関を認めた。さらに、小児せん妄を評価する上で、アイコンタクトが重要な要素であることが明らかになった。小児では成人のように言語的なコミュニケーションがうまくできないことがよくある。非言語的な要素でせん妄の認知に重要な要素が明らかになったため、今後の研究にも積極的に利用している予定である。詳細な結果について国際学会に発表するために現在準備を行なっている。
また、我々は小児ICU患者のせん妄のリスクファクターの一つとして、家族の要因を考えている。その家族の要因を測定できるようにするための準備として、EMpowerment of Parents in THe Intensive Care 30 (EMPATHIC-30) 質問表を用いて、PICUでのケアに対する、家族の満足を評価できるかを確認するために、日本の複数の小児ICUでのデータを集積した。今後詳細な検討を加えて公表する予定である。
プロジェクトB:自施設の小児ICU入室患者のデータベースを利用し、新たに入室した患者については、次年度以降で長期的な予後について確認していく予定である。
プロジェクトC:共同研究者の成育医療センター、壷井らとweb会議を行い共同研究の進め方について検討を行った。次年度以降で多施設研究を実行に移していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

プロジェクトAは当初研究していたよりも順調に進行し、論文作成を行うことができている。プロジェクトBに対しても次年度以降のフォローアップのための準備ができている。
その一方で、プロジェクトCの多施設共同研究については、新型コロナウイルスの流行の影響で直接施設間を行き来したり、一箇所に集まったりすることが困難な状況であるため、打ち合わせがweb会議システムを用いたものになり、やや効率が悪く進行が遅れている。また、本研究ではせん妄測定を各施設で行えるようにするための教育も、研究の重要な要素の一つであるが各施設を訪問しての教育が困難となってしまったため、同様に遅延している。しかし、多施設研究はそもそも2年目以降にデータを測定する予定であり、来年度の実施方法を工夫することで対応可能な範囲である。これらを総合的に考えると、全体ではほぼ予定どおり進行していると考えている。

今後の研究の推進方策

プロジェクトA: 本年度結果を得られた、筑波大学小児ICUでのせん妄の発生状況、心臓血管術後のせん妄と神経逸脱物質の関係、家族の満足度指標についての各研究成果を公表する。
プロジェクトB: フォローアップを継続し長期予後についての情報を集積する。
プロジェクトC: 新型コロナウイルスの影響により、各施設を訪問してのせん妄測定方法の教育が困難な状況となってしまったため、動画教材を作成し各施設の調査者の教育を行えるようにする。その上で、せん妄の発生割合をpoint prevalence studyで測定する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスによる、学会の開催形態の変化や人の移動の制限のために学会での情報収集を行うための旅費や、打ち合わせとそれに関わる諸経費がかからなかった。また、多施設研究の打ち合わせやシステム構築に関してはやや遅れているため、その分の経費も算定できていないことが、今年度分の経費を翌年に持ち越す理由となっている。
次年度は単施設研究での基礎データをもとに多施設研究を進めるとともに、初年度の成果の論文発表を引き続き行う予定である。長期予後のフォローアップも引き続き行う。

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公開日: 2021-12-27  

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