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2022 年度 実施状況報告書

小児のせん妄の成因調査と実態解明に向けた多施設研究およびデータベースの構築

研究課題

研究課題/領域番号 20K09261
研究機関筑波大学

研究代表者

榎本 有希  筑波大学, 医学医療系, 講師 (30649231)

研究分担者 星野 哲也  筑波大学, 附属病院, 病院講師 (00621921)
荻原 重俊  地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立小児総合医療センター(臨床研究部), その他, 医員 (10867766) [辞退]
下條 信威  筑波大学, 医学医療系, 講師 (20462210)
壷井 伯彦  国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 手術・集中治療部, 医師 (60754455)
城戸 崇裕  筑波大学, 附属病院, 病院講師 (90868621)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードせん妄 / 小児
研究実績の概要

1.筑波大学附属病院PICUでのせん妄の実態調査を行った。せん妄は58%の症例で発症していた。せん妄なし、せん妄はあったが1日で正常化する群、発症が2日以上持続する群の順にICU入室期間が長かった。結果については現在国際学会での発表を準備し、あわせて論文執筆も進めている。
2.心臓血管術後の小児患者に対して、神経逸脱物質物質(neuron specific enolase)の測定とせん妄の出現の関連について研究を行い、意識階層(昏睡、せん妄、正常)内のせん妄スコア( Cornell Assessment Pediatric Delirium )は、脳損傷マーカーレベルと関連していることを明らかにした研究がScientific Report 誌に掲載された。
3.せん妄が影響を与える可能性のあるアウトカムの一つとしてPost Intensive Care Syndrome(PICS)がある。PICSを評価するためのツールの一つであるHealthy Aging Brain Care Monitor(HABC-M)の自己報告版を日本語に翻訳し、集中治療後の環境における信頼性と妥当性を分析し、Australian Critical Care誌に掲載された。
4.国内の4つのPICUでせん妄の発生状況に関するpoint prevalence studyを行った。対象患者のうちせん妄率はおよそ1/3の患者でみられ入院期間、死亡率は特に差を認めなかったたことを日本集中治療学会で報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

プロジェクトA:
1.筑波大学附属病院のPICUでのせん妄の発生割合の調査を行った。2018年から2022年の当院のPICU入室患者を対象として、Cornell Assessment Pediatric Delirium (CAPD) スケールを用いて、せん妄の評価を行った。せん妄は58%の症例で発症していた。せん妄なし、せん妄はあったが1日で正常化する群、発症が2日以上持続する群の順にICU入室期間が長かった。現在学会報告準備中である。
2.心臓血管術後の小児患者に対して、神経逸脱物質物質(neuron specific enolase, NSE)の測定とせん妄の出現の関連について検討を行った。意識状態は階層的(昏睡>せん妄>正常)とし、意識状態とNSEの関連は階層的ベイズモデリングにより実施した。40人の患者(年齢中央値12ヶ月)から134のデータポイントを分析した。多重回帰モデルにおいて、NSEは昏睡と正の関連を示し、pSOFA、ミダゾラム、デキスメトミジンとも関連していた。また、各NSE濃度における意識状態確率を評価し、意識が階層的に分類されること、CAPDスコアもNSEと関連することをともに確認し、Sci Rep誌に報告した。
プロジェクトB:新型コロナウイルス のためまだ終了してないが、プロジェクトAの結果を踏まえて現在追跡調査を行っている。
プロジェクトC:国内の4つのPICUでせん妄の発生に関するpoint prevalence studyを行った。対象は16歳のPICU入室患者とした。CAPDを用いた。状態評価は昏睡、せん妄あり、せん妄なしとした。調査日にPICUに入室した患者は102名でそのうち、対象となった患者は61名、混迷が20%(n=12)、せん妄が38%(n=23)だった。。人工呼吸管理やカテコラミンを使用している症例はせん妄発症群で多かった。入院期間、死亡率は特に差を認めなかった。 (榎本有希ら.2023年 日本集中治療学会)

今後の研究の推進方策

研究結果は概ね得られているため、次年度は解析をすすめ学会報告や論文投稿を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス のために予定されていた学会参加、発表などが行えなかったため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Verifying the Japanese version of the Healthy Aging Brain Care Monitor self-report tool for evaluating post intensive care syndrome2023

    • 著者名/発表者名
      Matsuishi Yujiro、Hoshino Haruhiko、Enomoto Yuki、Shimojo Nobutake、Ikeda Mitsuki、Kotani Misaki、Kobayashi Shunsuke、Kido Takahiro、Mathis Bryan J.、Nakamura Kensuke、Nakano Hidehiko、Okubo Nobuko、Inoue Yoshiaki
    • 雑誌名

      Australian Critical Care

      巻: preprint ページ: preprint

    • DOI

      10.1016/j.aucc.2023.02.004

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Pediatric delirium is associated with increased brain injury marker levels in cardiac surgery patients2022

    • 著者名/発表者名
      Matsuishi Yujiro、Hoshino Haruhiko、Enomoto Yuki、Shimojo Nobutake、Matsubara Muneaki、Kato Hideyuki、Mathis Bryan J.、Morita Kojiro、Hiramatsu Yuji、Inoue Yoshiaki
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 12 ページ: 18681

    • DOI

      10.1038/s41598-022-22702-2

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 小児せん妄の実態調査: point prevalence study2023

    • 著者名/発表者名
      榎本有希
    • 学会等名
      第50会日本集中治療医学会学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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