研究課題/領域番号 |
20K09262
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
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研究分担者 |
柴藤 淳子 湘南医療大学, 臨床医学研究所, 研究員 (10611121)
塩田 清二 湘南医療大学, 薬学部医療薬学科, 教授 (80102375)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | PACAP / トランスクリプトーム解析 / プロテオーム解析 / CRMP2 |
研究実績の概要 |
脳虚血モデル動物や脊髄損傷モデル動物を用いた実験によりPACAPが神経細胞死保護作用や軸索伸長作用を有していることが分かっている。これまでの実験によりPACAPによる神経保護作用や軸索伸長作用にCRMP2が関与している可能性が示唆されている。CRMP2は培養海馬にて軸索形成を誘導するが、その作用はグリコーゲンシンターゼキナーゼ-3β(GSK-3β)によってリン酸化されることで不活性化することは確認されているが、PACAP軸索伸長におけるCRMP2の詳細な分子メカニズムは不明である。そこでラット副腎由来褐色細胞腫細胞PC12細胞を用いた神経突起伸長作用の解明を目指した。 PACAPによる神経突起伸長はPac1受容体を介したGSK-3β、CDK5、Rho/ROCK経路からのCRMP2脱リン酸化(活性化)が重要であることが分かったが、PACAPによる詳細なCRMP2脱リン酸化作用は不明であった。そこで遺伝子およびタンパク質の発現プロファイルをオミックスベースでトランスクリプトーム解析(DNAマイクロアレイ)およびプロテオーム解析(TMT標識液体クロマトグラフィータンデム質量分析)することで、PACAPによる神経突起伸長における初期因子の同定を試みた。その結果、神経突起伸長に関与する多くの重要な制御因子が明らかになった。CRMP2の脱リン酸化にはcAMPシグナル、PI3K-Aktシグナル経路やカルシウムシグナル経路の関与が考えられた。これらのデータを先行研究を含めて比較検討した結果、PACAPによる神経突起伸長の分子メカニズムに関する新たな情報が得られた。現在進めている軸索損傷モデルでの軸索再生の分子メカニズムを本研究と比較することでPACAPの神経保護・再生作用を明らかにしていきたいと考えている。
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