研究課題/領域番号 |
20K09278
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
室谷 卓 関西医科大学, 医学部, 講師 (20528434)
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研究分担者 |
鍬方 安行 関西医科大学, 医学部, 教授 (50273678)
池側 均 関西医科大学, 医学部, 准教授 (80379198)
中村 文子 関西医科大学, 医学部, 助教 (80701721)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 赤血球 / 補体 |
研究実績の概要 |
本研究は補体の赤血球上の沈着を見るものである。救命センターに搬送される患者さんの赤血球上の補体を定量化することにより来院時の患者さんの補体の活性化を測定できる可能性を有した研究である。それに解釈を加えることで重症患者の重症度をはかるスコアとする狙いがあり、今回は対象を単純に敗血症に絞ることで侵襲の定量化を目的としていた。令和2年度は研究日に用意可能な検体が予定よりも少なくそのため、敗血症以外の他疾患(外傷、心停止)にも対象を広げて研究継続を行い、15例の検体を得ている。検体症例の平均年齢は62±22歳で男性9名(60%)であった。平均のAPACHEⅡスコアは18±12、SOFAスコアは4±5であった。健常者にもボランティアとして協力をいただき、健常成人の赤血球補体沈着も測定を行なっている。患者全体の重症度は高くないものの赤血球表面上に沈着した補体成分はそのIsotype controlに比して沈着が見られ(約2.8倍)、また、健常人よりも蛍光度の比で1.6倍沈着していた。まだ、検体数が十分でないため統計学的な検討は施行していないが、今後、検体数を増やすことにより検討が可能と考えられる。現時点では補体の沈着量とSOFAスコア、APACHEⅡスコアとの重症度との比較、相関は見られていないが今後、検体数が増加とともに検討を繰り返す。疾患別、敗血症の原因別には検体数の制限もあり、比較検討には至っていないが、次年度以降の課題とし、積極的に検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
設定した研究日に研究可能な検体採取を行う予定であったが、想定よりも敗血症症例が少なく当初の予定よりも検体数が減少した。様々な社会情勢により研究に支障が出た面は否定できないが、遅れを取り戻すように次年度以降努める。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は当初の予定に従い、敗血症症例に対しては積極的に研究参加を促す。敗血症症例が集まらない場合は外傷、心停止などの他の重症症例も研究対象に加え、検討を行う方針とする。敗血症症例の場合可能であれば後日の検体採取も行い、経時的な変化についても検討する。補体沈着が有意ということであれば重症度(APACHEⅡスコア、SOFAスコア)などの相関や経時変化についても検討する。男女比や敗血症臓器別の違いがあれば検討を追加する。敗血症性播種性血管内凝固(septic DIC)を発症している場合には重症度を反映するDICスコアを計算し、敗血症をきたしている基礎疾患、感染臓器、検査データなどと補体沈着の度合いとそれぞれ関連があるかどうかを確認する。重症度や検査データなどで補体沈着との相関が認められた場合は赤血球の補体沈着量が予後、臓器障害の程度の予測式が成立可能かどうか検討する予定である。
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