研究課題/領域番号 |
20K09279
|
研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
宮口 一 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (10370884)
|
研究分担者 |
渡慶次 学 北海道大学, 工学研究院, 教授 (60311437)
山口 晃巨 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (50822087)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 神経剤 / 流体デバイス / 化学テロ |
研究実績の概要 |
吸水性の高い紙を基材とした紙製流体デバイスは、浸潤により自律的に液体が移動するため、電源やポンプなどの周辺機器が不要であり、リソースが限られるテロ現場における危険物質の検知に適している。また、安価で大量生産が可能であることも、実用化のためには利点となる。そこで本研究では、VXやノビチョクなどの難揮発性神経剤を含む、あらゆる神経剤を安価かつ簡便に検知可能な紙製検知デバイスの開発を目指している。 前年度までに、神経剤を検知するための紙デバイスに関する基礎的検討を行ってきたが、令和4年度は、実用化に際して必要となる保存期間の延長について検討を行った。実際に警察や消防などの初動措置部隊にデバイスを配備するに当たっては、更新頻度などの経済上の観点から、概ね製造後2年間の有効期限を有する必要がある。 デバイス製造の際に、凍結乾燥した酵素を有機溶媒に懸濁してアプライすることで、いったん水に溶かして水溶液としてアプライした場合と比較して、コンフォメーション変化による変性が抑制されることで、酵素の劣化により偽陽性を生じるまでの期間を延長できることが明らかとなった。改良した方法により酵素を実装し、簡易真空包装機により真空パックした紙デバイスについて、高温条件下における加速劣化試験を実施した結果、酵素量をやや多めに調整(ただし感度は低下)することで、冷蔵条件下では目標とする2年程度の有効期限を達成できる見込みが得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目標としていた保存期間の延長が達成できたが、予定していた包装資材の検討が行えなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
(特に常温保管下における)保存期間の延長のため、引き続き包装資材及び方法の検討を行う。また、操作性の改善のため、流路の改良や、外装形状の検討を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
一部の実験が計画通り進行しなかったため。
|