研究課題/領域番号 |
20K09286
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
入澤 太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (50379202)
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研究分担者 |
北村 哲久 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (30639810)
嶋津 岳士 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50196474)
石見 拓 京都大学, 環境安全保健機構, 教授 (60437291)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 口頭指導 / 指令センター / 院外心停止 / 人工知能 |
研究実績の概要 |
本研究は、通信指令業務において、音声認識および人工知能の技術を応用して通信指令業務を支援するシステムを確立するために、①音声認識を用いて差し迫った状態で通報される119番通報内容を正確に、かつ迅速に把握するアルゴリズムの確立、②通報内容から想定される傷病の候補をdeep learning を重ねたAIにより迅速に列挙し通信指令業務を支援するAI支援システムの開発、③本AI支援システムと実際に通信指令員による指令業務の長所を兼ね備えたハイブリッド指令システムを構築すること、を本研究の目的としていた。 しかし、現時点でCOVID-19のパンデミックのため、少なくとも、口頭指導による気道の確保には十分注意しなければならない事態となった。また、胸骨圧迫についても十分注意して行わなければならず、結果として消極的な口頭指導をせざるを得ない1年間であった。現在協力関係にある医療圏およびその救急指令センターにおいても、現在口頭指導の見直しが図られている。そのため、まずは、令和2年度は、口頭指導の教育担当を担っている市消防と協議を重ね、結果として、ほぼ1年間に2回出された緊急事態宣言を踏まえ、COVID-19の影響から、あらためて現時点での妥当な口頭指導の現状を見直す作業を行ってきた。また、例年行ってきた2日間にわたる口頭技能研修会も令和2年度は見送られたため、令和3年度以降、どのように口頭指導技能研修会を行っていくかを検討し、AIによる口頭指導の新しいアルゴリズムを作り出したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究を提出した際には予想をしなかったCOVID-19のパンデミックにより、救急事情は一変した。また、本来は救急指令センターが、院外心停止の傷病者には気道の確保、胸骨圧迫を口頭指導し、またそれ以外の傷病者に対しても圧迫止血やショック体位の確保などを指導していた。しかし、現状、感染制御が最優先という時代背景のため、安易な口頭指導は行えない時代に一変してしまった。そのため、AIを導入するステップに進む前に、すでに前提とされていた口頭指導そのものを見直さざるを得なくなってしまい、結果として研究が遅れてしまうに至った。
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今後の研究の推進方策 |
今後の感染制御を鑑みながら、院外心停止を含む口頭指導を効果的に行えるようなアルゴリズムを再構築し、一方でリモート医療が進んできた背景を逆手にとって流用して、口頭指導のエリアにおけるAIの活用を一気に推し進めたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19のパンデミックにより、学会の延期、中止、リモートへの移行などが行われたため、出張費が予定額より大幅に下回ったため、次年度使用額が生じた。今後は改めて研究計画の予算執行の予定を見直し、貴重な研究費を有効活用できるような計画を立案し、令和3年度以降の研究を進めたいと考える。
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