研究課題/領域番号 |
20K09289
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
坂口 嘉郎 佐賀大学, 医学部, 教授 (20225791)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生命維持装置 / 生体情報 / 遠隔モニタリング / 緊急対応発動 |
研究実績の概要 |
当院では2014年より生命維持装置の作動情報を遠隔で常時監視するシステムを導入してきた。これに生体情報モニタリングシステムを統合しAI技術により容態緊急度を判断し介入通報するシステムを開発し、その有効性を検討することを目的とした。端末により遠隔監視するために現状では、通信トラブルが頻発すること、サーバーから受信するデータ更新に1~3分ほどのタイムラグがあるという問題点を解決する必要が判明した。そこで、医療機器に設置するデータ送信用 PCの変更、無線LAN通信環境の改善、アプリケーション不具合改善、サーバーの更新を図ることにより、通信トラブル発生件数の減少、遠隔モニタリングにおけるリアルタイム化およびレスポンスの向上を実現することができた。 次に、生命維持装置の稼働状況と、生体情報モニタリングを同一プラットフォーム上で運用するためのシステムを開発することを目指し、それぞれのシステム管理開発者と協議を重ねた結果、生命維持装置の監視システム上に生体情報サーバーへの読み込みボタンを設置して、同一画面上に表示する方式をとることにし、その開発に着手した。 データ解析をもとに緊急度を判定するシステムの開発は今後の課題である。なお、緊急度に基づき介入要請を対応する該当医療者に分けて自動通報するシステムを開発することを当初の目的としたが、本研究で想定する実装システムにおいて実現化するのは技術的に難しいことが明らかとなったため、本システム搭載端末上にレベル表示することにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究目的を達成するために新しいシステムを開発する上で、通信トラブルやデータ更新遅延の障害を解決する必要があり、その作業に時間を要した。また、2つのシステムを統合する新しい監視システムを実現するための方法を検討した結果、新規のプロットフォームを開発するのではなく、既存のシステム上に他方のデータを読み込む方式を取ることに決定したが、コロナ禍でシステム開発者との面談が進まなかったために開発着手に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
緊急度の判定システムと通報システムの開発を促進する。 (1)生体情報モニタから得られるバイタルサインの重症度および生命維持装置の稼働状況については、それぞれ、現場で設定したアラームの作動と継続時間に基づき、A:正常、B:要注意、C:危険に分類する。(2)上記2つの情報を統合収集し、マトリックス表に従い介入の必要性を段階に分類する。IV: 経過観察、III:担当スタッフコール、II: RRTコール(RRTおよびMEセンター技士へ通知)、I: ハリーコール(院内一斉放送)。(3)以上の判定メッセージを端末上に表示するビューを開発する。 システムの有効性の検証については2022年度の課題としたい。システムが介入必要性ありと判断した事例が発生した場合、(1)病棟や部署に設置する端末で判定アラームを認知できたか、(2)介入行動の発動に寄与したか、を検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
生命維持装置と生体情報の遠隔モニタリングを同一画面上で見れるようにするシステムの開発方針を決定するのに時間を要したため、実際にシステム開発(概算2,000,000円)を発注するのは2021年度に持ち越すことにした。
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