研究課題/領域番号 |
20K09299
|
研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
辻川 健治 科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (50356193)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 簡易吸光度計 / 血中濃度 / 比色反応 / ジフェンヒドラミン |
研究実績の概要 |
中毒医療において、中毒起因物質の血中濃度測定は、中毒の程度や治療法の選択を行う上で重要である。薬毒物の血中濃度測定には、ガスクロマトグラフ質量分析装置や液体クロマトグラフ質量分析装置など分析機器が用いられるが、それらは価格が高く、一般病院で導入するのは困難である。そこで、本研究では、一般病院において実施可能な低コストな定量分析法の開発を念頭に、簡易吸光度計(ウシオ電機PiCOSCOPE)を用いた比色法による薬毒物の血中濃度の定量法を開発を目標とした。分析対象は、中毒域の血中濃度が比較的高く、かつ、比色法による定量が可能と考えられる薬毒物(アセトアミノフェン、サリチル酸、リチウム、カフェイン、ジフェンヒドラミンなど)とした。 研究初年度である令和2年度は、必要な資機材及び試薬の購入及び文献調査を主として行った。文献調査については、中毒症例が比較的多く、簡易な血中濃度測定法が求められているジフェンヒドラミンの比色定量法について調査を行ったところ、比色試薬としてテトラブロモフェノールフタレインエチルエステル(TBPE)試薬並びにpatent blue、eriochrome black T、methyl orange、bromocresol purpleが候補として挙げられた。このうち、TBPE試薬によるジフェンヒドラミンの検出感度を評価したところ、ジフェンヒドラミンの中毒域濃度(5 μg/mL)を測定するのに十分な感度が得られなかったため、TBPE試薬による定量は断念した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による出勤制限により、必要な実験の進捗が遅れたため。また、科研費の予算執行が可能となった時期(9月)も遅く、試薬や資機材の購入が進まなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
ジフェンヒドラミンの血中濃度測定に耐えうる呈色試験法として、既報(Arabian Journal of Chemistry 3(2010)265-270)において尿中濃度測定の実施例のあるpatent blue、eriochrome black T、methyl orange、bromocresol purpleによる比色定量法を評価する。次いで、カフェインの血中濃度測定法として、ムレキシド法を評価する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大により、学会が中止あるいはオンライン開催となり、学会参加に要する費用が大幅に軽減されたため。
|