本研究では、臨床において使用可能な血液中の薬物濃度の簡易定量法の開発を目標とした。本研究は4年間にわたり実施したが、研究年度の3年目および4年目には、カットオフ濃度1μg/mLの尿中カフェイン検査キット(イムノクロマトプレート、CAF Rapid Test Cassette (Urine)、Hangzhou Alltest Biotech)を使用した血中カフェイン濃度の推定法の開発を行った。カフェイン添加血清(10~100μg/mL)をPBSで10~100倍に希釈し、これを検査プレートにアプライした。その後、検査プレートのメンブレン像をスキャナで取り込み、画像処理ソフトウェアImage Jでバンド強度をピーク面積に変換した。このピーク面積を元に、カフェイン陽性/陰性の判定を行った。最終的には、被験試料を20倍および100倍に希釈し、それがカフェイン陽性/陰性と判定されるかによって、血中カフェイン濃度を25μg/mL以下、25~100μg/mL、100μg/mL以上と判定するフローを作成した。このフローの妥当性については、カフェイン中毒患者およびカフェイン以外の薬物による中毒患者の全血により評価を行い、妥当であることを確認した。また、カフェインの代謝物であるテオフィリン、テオブロミン、パラキサンチンが検査結果に及ぼす影響についても評価を行い、それらの代謝物が事実上検査結果に影響を及ぼさないことを確認した。
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