マウス心停止モデルを用いて、Rhoキナーゼ阻害薬であるファスジルが蘇生後の脳組織障害や脳・肺浮腫を軽減できるかどうか検証した。ファスジル投与は用量依存的に蘇生後の生存率を下げた。ファスジル20mg/kgは蘇生24時間後の脳浮腫を軽減したが、48時間後には効果がなくなった。肺の水分量を減らすことはなかった。脳の組織障害を軽減する作用もなかった。RNAシーケンサーを用いた遺伝子解析ではファスジル投与は血管内皮障害、細胞の遊走促進、炎症性サイトカインの活性化、腫瘍壊死因子TNFの促進など総じて炎症を惹起する遺伝子発現を増加させていた。ファスジル投与は蘇生後症候群を軽減する作用が認められなかった。
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