研究課題/領域番号 |
20K09302
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関 倫久 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30528873)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 機械学習 / 救急医学 / 電子診療録 / SS-MIX2 |
研究実績の概要 |
本研究では救急診療から入院への診療フローにおける臨床判断や診療の管理を支援し、臨床成績の向上、臨床医の負担軽減へ繋がる機械学習モデルの開発を行うことを目的として、電子診療録内に存在する入院時の検査データ、患者背景情報から死亡リスクを半自動的に出力するモデルの開発を行った。研究に用いるデータとして東京大学医学部附属病院におけるSS-MIX2標準化ストレージに保存された診療データを用いた。電子診療録データを用いた救急入院における重症度評価モデルでは非線形機械学習モデルによって院内死亡1.56%という不均衡が著明なテストデータでの検証ではAUROCではいずれも0.93を超えたがそれぞれの手法に有意な差はなかった一方、Area Under Precision-Recall curve (AUPRC)ではGBDTが0.249 CI[0.193, 0.308]で最も優れていた。これら非線形機械学習モデルは救急診療から入院への診療フローにおける臨床判断や診療の管理に有用となる可能性が考えられた。現在、わが国では特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度に係る評価票が施設基準の為に用いられているが、その為に入院患者の集中治療室の入室時にはこれを用いた評価がなされている。しかし本評価票は患者側の病態は項目として含まれておらず、医療者側が処置として何を行なったかという点が評価されるため、患者の病態を加味したより厳密な重症度評価、リスク層別化を行うことで、医療の質の向上に資することが可能となる可能性が期待できると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床データを用いた機械学習による入院時の死亡リスク予測モデル構築を行い、論文発表を行った。他の予測モデルについても現在構築・解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
臨床データを用いた機械学習による予測モデル構築により、運用への応用に関する課題の同定に至った。本研究をもとに課題の改善に取り組むとともに、他のデータを用いた予測モデルの構築を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通りの使用となり、次年度使用額分は次年度消耗品購入費用に組み入れて使用する。
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