研究課題/領域番号 |
20K09313
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
三高 千恵子 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (20126254)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 急性腎障害 / 敗血症 / ショック / 局所酸素飽和度 / 好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン / 臓器不全 |
研究実績の概要 |
重症患者において急性腎障害が多臓器不全の引き金になることが多い。本研究の目的は、重症患者において無侵襲混合血酸素飽和度監視システム(INVOS)によ り腎の局所酸素飽和度(rSO2)をモニターし、急性腎障害を早期に予測できるかを検証することである。腎rSO2と急性腎障害のバイオマーカーである尿中好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(neutrophil gelatinase-associated lipocalin: NGAL)濃度との関連も検討する。対象は、敗血症、敗血症性ショック、呼吸不全、高リスクの大手術後などでICUに入室した重症患者である。ICU入室時の重症度スコア(APACHE II score)、入室後4日間の臓器不全スコア(SOFA score)、血行動態(心拍数、血圧、心係数、心拍出量係数、一回拍出量変動)、腎rSO2のモニター、血算(白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数)、生化学(尿素窒素、血清クレアチニン、eGFR、Na、K、Cl、CRP)、尿検査 (尿中クレアチニン、尿中NGAL)、尿量、酸素化指標 (PaO2/FIO2 ratio)、ノルアドレナリン、バソプレッシン投与量、乳酸値の変化を記録している。急性腎障害の早期治療介入により、遠隔臓器へ障害が波及し多臓器不全に陥ることを阻止できる可能性がある。現在、敗血症、敗血症性ショック、呼吸不全などの重症患者44名を登録したところである。これらの患者においては、ほとんど全ての患者で尿中NGAL濃度が上昇しており、ノルアドレナリン、バソプレッシン大量投与により腎rSO2が低下している傾向があった。腎rSO2が<55%の症例は急性腎障害を発症する可能性が高いことが示唆された。しかし、急性腎障害において全ての患者でrSO2が低い(<55%)わけではないため、更なる研究が必要と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年後半期より、COVID-19感染によるパンデミックのため、汎発性腹膜炎で緊急手術後に集中治療室に入室する重症患者数が減少傾向にあった。そのため、登録件数が減り、予定数に達していない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
敗血症、敗血症性ショック、呼吸不全、慢性疾患を有する高リスクの大手術後の患者だけでなく、慢性腎臓病でまだ透析を開始していない患者も含めることにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染のパンデミックにより、緊急手術や救急外来からの集中治療室入室が制限され、登録数が予想よりも少なかった。使用計画としては、1)学会出席のための参加費、交通費、滞在費、2)検査料、3)英文校正費、4)論文投稿費、5)消耗品などであ る。
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