研究課題/領域番号 |
20K09314
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
李 暁鵬 (中内暁博) 昭和大学, 医学部, 准教授 (90245829)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | バルビツール酸系薬物 / アミノグリコシド系抗菌薬 / 治療薬物モニタリング (TDM) / モノリス型SPE / UPLC-Q-Tof-MS / 精密質量 / 救急救命 / 法医学 |
研究実績の概要 |
本年度はバルビツール酸系薬物、アミノグリコシド抗菌薬について以下の検討を行った 1.最適なイオン化法の検討ならびにMSおよびMS/MSの精密質量ライブラリーの作成 分析装置はWaters UPLC-Q-Tof-MSシステムを、本研究に用いる血漿、尿などの生体試料を保管・保存用に日本フリーザー製超低温冷凍庫(VT-208HC冷凍庫、設備備品費により購入)を使用した。各薬剤標準品について、Q-Tof-MSの精密質量ライブラリーの作成を行った。 2.分析対象薬物の簡便迅速な微量固相抽出とUPLCによる分離条件の検討 ヒト血漿20 μLまたは尿100 μLに6種類のバルビツール酸系薬物と内部標準物質を添加した後、モノリス型SPEスピンチップによる簡単・迅速な前処理を行い、その溶出液2-μLをUPLC装置に直接注入した。カラムはAcquity UPLC HSS C18を用いた。6種類のバルビツール酸系薬物および内部標準物質は、4.5分以内に感度良く検出された。5~500 ng/mLの範囲で良好な直線性を示し、検出限界は1-2.5 ng/mLであった。また、アミノグリコシド系抗菌薬については、ヒト血漿100 μLに6種類の薬物および内部標準物質を添加した後、アセトニトリルによる液-液抽出を行い、その2-μLを分析に供した。分析カラムはImtakt社製Scherzo SM-C18 MFを用いた。6種類のアミノグリコシド系抗菌薬および内部標準物質は、3分以内に感度良く検出された。1~200 ng/mLの範囲で良好な直線性を示し、検出限界は約0.5~1 ng/mLであった。今後、臨床現場または法医解剖で得られる人体試料について、本研究の救急救命実務ならびに法医学領域での有用性を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度「研究目的」の達成度は70%であった。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大防止の取り込みと同時に実験は慎重に進められた。6種類のバルビツール酸系薬物および6種類のアミノグリコシド系抗菌薬についてUPLC-Q-Tof-MS精密質量ライブラリーの作成を行い、最適な分離条件の設定ができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、ベンゾジアゼピン系向精神薬および抗うつ薬物についても最適なイオン化法の検討並びにQ-Tof-MS精密質量ライブラリーの作成を行い、分離条件の検討を行い、最適な分離用カラム並びに移動相の選択を行う。さらに、薬物と代謝物を血液および尿に添加し、モノリス型SPEによる簡便前処理と高精度・高感度分析法の開発を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響により、主要分析機器であるUPLC-Q-Tof-MSの稼動が遅れ、モノリス型SPE ピンチップ、HPLCカラムおよび試薬などの購入発注も遅れが生じている。そのため、令和2年度の実際使用額に残金(278,489円)が生じた。 令和3年度には、分担研究者を追加し、他機関の協力を得て本研究の実施に全力取り込んで参ります。
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