研究課題/領域番号 |
20K09321
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
田村 郁 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (70629146)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 悪性脳腫瘍 / がん幹細胞 / 膠芽腫 / microRNA / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
脳腫瘍幹細胞(brain tumor stem cell)が化学療法や放射線療法に対して耐性をもち、治療の重要な標的として認識されはじめていることから、本研究は、脳腫瘍幹細胞を制御するmicroRNAを同定することにより、悪性脳腫瘍の新規治療法およびバイオマーカーを確立することを目的としている。その目的達成のために、2021年度は膠芽腫患者由来脳腫瘍幹細胞の樹立を継続し、膠芽腫患者血清サンプルの取得を継続した。膠芽腫患者由来脳腫瘍幹細胞は、膠芽腫患者の手術摘出標本のうち病理診断後の残余を研究用試料として用い、Neurosphere法による培養で脳腫瘍幹細胞を分離し、特異的に増幅させた。更に、膠芽腫凍結検体から抽出したDNAを用いて、各膠芽腫サンプルにおけるIDH, MGMT, H3K27Mなどのプロファイリングを行った。また、脳腫瘍幹細胞から抽出したRNAを用いたmiRNA arrayによる発現スクリーニング結果から、脳腫瘍幹細胞特異的microRNAの候補を複数同定した。今後、脳腫瘍幹細胞培養液中のエクソソームから抽出したRNA、血清サンプルから抽出したRNAを用いたmicroRNA発現スクリーニングを行い、これらの結果と臨床データを統合的に解析して、治療ターゲット及びバイオマーカーとなりうるmicroRNAを同定する予定である。さらに脳腫瘍幹細胞特異的 microRNAの標的分子を同定することにより治療抵抗性機序の解明を試み、新規治療法開発につなげていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年に産休・育休を取得したためやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
脳腫瘍幹細胞から抽出したRNA、脳腫瘍幹細胞培養液中のエクソソームから抽出したRNA、血清サンプルから抽出したRNAを用いたmicroRNA発現スクリーニング結果と臨床情報を統合的に解析して、脳腫瘍幹細胞特異的microRNA(=miRX)を同定する。 miRXの標的分子を探索して、悪性脳腫瘍の治療抵抗性機序を解明する。 miRXのバイオマーカーとしての有用性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
無駄のない実験用物品の購入等により次年度使用額が生じた。次年度に、分子生物学的実験の物品費等で使用する予定であ る。
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