研究課題
脳腫瘍幹細胞(brain tumor stem cell)が化学療法や放射線療法に対して耐性をもち、治療の重要な標的として認識されはじめていることから、本研究は、脳腫瘍幹細胞を制御するmicroRNAを同定することにより、悪性脳腫瘍の治療抵抗性機序を解明し、新規治療法およびバイオマーカーを開発につなげることを目的としている。その目的達成のために、2020年度と2021年度に膠芽腫患者由来脳腫瘍幹細胞の樹立と、脳腫瘍患者血清サンプルの取得を行った。膠芽腫患者由来脳腫瘍幹細胞は、膠芽腫患者の手術摘出標本のうち病理診断後の残余を研究用試料として用い、Neurosphere法による培養で脳腫瘍幹細胞を分離し、特異的に増幅させた。脳腫瘍幹細胞からRNAを抽出し、miRNA arrayに よる発現スクリーニンクを行い、コントロール脳腫瘍細胞(非幹細胞)のデータと比較することで脳腫瘍幹細胞特異的microRNAの候補を複数同定した。2022年度は脳腫瘍患者の血清サンプルから抽出したRNAを用いてmicroRNA arrayによる発現スクリーニングを行った。この結果を前年度の脳腫瘍幹細胞を用いたmicroRNA arrayによる発現スクリーニングの結果と統合的に解析し、脳腫瘍幹細胞特異的かつバイオマーカーとなりうるmicroRNAの候補(=miRX)を同定した。またテトラサイクリン発現誘導系を用い、脳腫瘍幹細胞におけるmiRXの発現制御をin vitroで行い、miRXの発現制御が脳腫瘍幹細胞の増殖に影響を与えることを確認した。本研究で脳腫瘍幹細胞に関与するmiRXを同定することで脳腫瘍の治療抵抗性の機序の一端を解明することができ、またバイオマーカーとなりうるmicroRNAの候補を同定することができた。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
Cancers
巻: 14 ページ: 1449
10.3390/cancers14061449
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