研究実績の概要 |
原発性悪性脳腫瘍の予後は極めて不良であり、様々な治療法が試みられている中、遺伝子治療や分子標的薬は有望な治療である。今回我々は浸潤性脳腫瘍に対する分子標的薬と遺伝子治療との併用療法とCCNファミリーなどの腫瘍微小環境関連因子の関与について検討する。分子標的薬と遺伝子治療との併用療法の組み合わせについて比較する。分子標的薬と遺伝子治療との併用療法の微小環境変化の比較、治療バイオマーカとの関連実験を行う。様々な治療法が試みられている中で、分子標的薬や遺伝子治療は有望な治療である。 まず、当施設における、遺伝子治療実験の準備を行った。プラスミドの作成、レンチウイルスによる細胞への遺伝子導入などを行うことができた。次にヒトグリオーマ細胞を用いた脳腫瘍モデルの作成、転移性脳腫瘍モデルの作成などを行った。それぞれのモデルの生存期間、腫瘍形態などを確認することができた。さらに、岡山大学との協同研究では、CCNファミリーなどの腫瘍微小環境関連因子に着目した。そこで、分化したグリオーマ細胞(DGC)は、CCN1媒介マクロファージ浸潤を介して腫瘍微小環境を形成することによって腫瘍進行を加速することを見出した。 ヒトグリオーマ細胞を用いた脳腫瘍モデルの作成、転移性脳腫瘍モデルの作成に成功した。脱落乳歯歯髄幹細胞(SHED)を用いたTK/GCV自殺遺伝子細胞治療を行い、腫瘍指向性と抗腫瘍効果を確認した(Yamamoto, Journal of Integrative Neuroscience, 2022; Horikawa, Cancer Gene Ther, 2022; Oishi, Mol Ther Methods Clin Dev, 2022)。さらに、腫瘍溶解ウイルス(OV)実験のため現在OVの予備実験を行っている。今後併用療法も行う予定である。
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