研究課題/領域番号 |
20K09336
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
古瀬 元雅 大阪医科薬科大学, 医学部, 准教授 (70340560)
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研究分担者 |
川端 信司 大阪医科薬科大学, 医学部, 准教授 (20340549)
池田 直廉 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (50434775)
野々口 直助 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (70388263)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Pseudoprogression / BNCT / bevacizumab |
研究実績の概要 |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)を用いてPseudoprogression (PsP)のラットモデルを作成すべく、BNCTの動物照射実験および画像により経時的変化の観察を行うべく方法を画策した。京都大学複合原子力科学研究所でBNCTを行ったラットは施設外に出すことは出来ないため、施設内での動物画像診断の可能性を検討した。施設内設備に動物用CTがあるが、放射化物の取り扱いが厳しくなったため、BNCT照射後のラットをCTのある施設への移動が不能となってしまったため、現時点ではBNCT照射後のラットにCTが施行できなくなってしまった。今後、照射後のラットの移動について実現可能な方策を検討する予定である。 BNCTの使用に関わらずPsPのモデルは今まで作成されていないため、同時にX線照射にて作成可能か否かに取り組むこととした。現在動物実験計画を作成し、施設内動物実験委員会に申請中である。 臨床研究としてはBNCT照射例として再発悪性グリオーマに対するBNCTの臨床研究に登録された25例の症例を解析した。14例のprimary glioblastoma (GBM) と11例のnon-primary GBM(グレード3グリオーマやsecondary GBM)が含まれていた。全例、BNCT照射後早期よりベバシズマブが併用されていた。この25症例では明らかなPsPは認められなかった。加速器BNCTの第II相試験では、BNCT照射後、画像上PDとなるまでベバシズマブは投与を禁止されていた。第II相試験では無増悪生存期間が0.9カ月であったが、全生存期間は18.9カ月であった。この長期生存例の早期PDにはPsPが含まれている可能性があり、そのPsPはベバシズマブを予防的に投与することで回避することが出来た可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
BNCTを用いたPsPの動物モデル作成の実験計画を立案したが、京都大学複合原子力科学研究所の放射化物取り扱いの規制が厳しくなり、BNCT照射後ラットのCT撮影が困難となった。CTを撮影させるためのラットの移動手段等、実現性のある実験遂行方策を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
京都大学複合原子力科学研究所でのBNCTを用いたPsP作成の実験を遂行する方法と検討するとともに、当施設においてX線照射によりPsPモデルの作成を試みる予定であり、当施設のX線装置とCTを利用する予定である。今後の研究予定は以下の通りである。200~250gのFisher ratにメチルグアニンDNAメチルトランスフェラーゼのプロモーターがメチル化したグリオーマ細胞(1x103個/10μL)を脳内に移植し、テモゾロミドを投与し、2週間後にX線照射を行う。CT検査は照射2日後、7日後および3~4週間後の3回を予定し、作成を確認する。この計画を基に、至適X線照射線量やCT検査の指摘撮影日を割り出し、モデル作成の可否について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
PsPの動物モデル作成の実験が滞っているため、動物実験に使用予定の金額が未使用となっている。上述したように、CT撮影の具体的方法が見つかればBNCTでの動物実験を行う。BNCTの使用がどうしても困難であれば、X線を使用してPsPの動物モデルの作成を試みる予定であり、これらの実験に研究費を使用することを検討している。
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