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2020 年度 実施状況報告書

ムコリピンを標的としたがん根治・予防を可能とする治療薬の創出

研究課題

研究課題/領域番号 20K09337
研究機関関西医科大学

研究代表者

林 美樹夫  関西医科大学, 医学部, 講師 (10368251)

研究分担者 岩田 亮一  関西医科大学, 医学部, 非常勤講師 (60580446)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードがん / がん幹細胞 / 再発 / 転移 / 創薬
研究実績の概要

悪性度の高いグリオーマは、治療後にかならず再発し、平均余命は約1年である。グリオーマは強い浸潤能がある。腫瘍細胞は脳の正常部位に深く染み渡り、外科手術では全摘出できない。さらに化学療法と放射線治療の集学的治療を行っても、治療抵抗性をもつがん幹細胞が増殖をくりかえす。再発の根源である、がん幹細胞に作用する薬物が開発できれば、根本的な治療法となることが期待される。
我々は、グリオーマ、転移性脳腫瘍、および肺癌由来のがん幹細胞に共通して、一過性受容体電位型チャネルの一種であるムコリピンが発現していることを発見した。そして、ムコリピンの遮断薬の中から、がん幹細胞を2日間で死滅させる薬物を見いだした。
ムコリピンの遮断薬を、細胞増殖アッセイ法を用いてスクリーニングし、がん幹細胞を死滅させることができる14種類の薬剤を同定した。そのうちの3種類の薬剤とムコリピンとのドッキングを教師データ(機械学習)としたインシリコスクリーニングにより、化合物ライブラリーの200万より998種類の候補化合物を抽出した。阻害効果予測値の高かったトップ100化合物の中から、31種の新規薬剤について化学合成に成功し、そのうち7種の薬剤がグリオーマ、転移性脳腫瘍、および肺癌から樹立したがん幹細胞の増殖を減退させた。うち1種が終濃度100 nMで、有効性を示した。NMRを用いて、新規薬剤の化学構造を決定した。この新規薬剤は、がん再発および遠隔転移の予防薬に発展する可能性が高い。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

グリオーマ、肺癌、および肺癌脳転移巣に存在するがん幹細胞に対して、選択的かつ有効性の高い抗癌剤およびその基本化学構造を開発した。新規化合物について、特許を出願した。

今後の研究の推進方策

新規化合物について、細胞増殖アッセイ法を用いて最適化する。また、脳腫瘍モデル動物における有効性をマウスの生存期間で評価する。

次年度使用額が生じた理由

予定よりも少ない試薬を用いて効率よく実験を遂行できたため、次年度使用額が生じた。消耗品費(培養関連と動物実験)に充当する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Thiazoline-related innate fear stimuli orchestrate hypothermia and anti-hypoxia via sensory TRPA1 activation.2021

    • 著者名/発表者名
      Matsuo T, Isosaka T, Hayashi Y, Tang L, Doi A, Yasuda A, Hayashi M, Lee CY, Cao L, Kutsuna N, Matsunaga S, Matsuda T, Yao I, Setou M, Kanagawa D, Higasa K, Ikawa M, Liu Q, Kobayakawa R, Kobayakawa K
    • 雑誌名

      Nature communications

      巻: 12(1) ページ: 2074

    • DOI

      10.1038/s41467-021-22205-0.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Intestinal TMEM16A control luminal chloride secretion in a NHERF1 dependent manner.2021

    • 著者名/発表者名
      Saha T, Aoun J, Hayashi M, Ali SI, Sarkar P, Bag PK, Leblanc N, Ameen N, Woodward OM, Hoque KM
    • 雑誌名

      Biochemistry and biophysics reports

      巻: 25 ページ: 100912

    • DOI

      10.1016/j.bbrep.2021.100912.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] ムコリピンを標的としたがん予防薬の開発2021

    • 著者名/発表者名
      林美樹夫
    • 学会等名
      第8回TR推進合同フォーラム・ライフサイエンス技術交流会
    • 招待講演
  • [学会発表] ムコリピンを標的としたがん予防薬の開発2021

    • 著者名/発表者名
      林美樹夫
    • 学会等名
      革新的医療技術創出拠点 令和二年度成果報告会 ―5年間のあゆみ、そしてその先へ―
  • [学会発表] ムコリピンを標的とした脳腫瘍の治療薬の開発2021

    • 著者名/発表者名
      林美樹夫
    • 学会等名
      第98回日本生理学会大会
    • 招待講演
  • [備考] 林 美樹夫 (HAYASHI MIKIO) - マイポータル - researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/patchclamperMH

  • [備考] researchgate

    • URL

      https://www.researchgate.net/profile/Mikio-Hayashi

  • [産業財産権] 窒素含有化合物、前記窒素含有化合物を含む組成物、及び腫瘍悪性度の予測マーカー2021

    • 発明者名
      林 美樹夫,池田 幸樹,岩田 亮一
    • 権利者名
      学校法人関西医科大学
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      JP2021/55869

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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