研究課題/領域番号 |
20K09339
|
研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
福田 俊一 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 糖尿病研究部, 研究室長 (10600546)
|
研究分担者 |
下權谷 祐児 日本大学, 工学部, 准教授 (30552575)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 未破裂脳動脈瘤 / 脳動脈瘤治療薬 / 壁ずり応力 / パロキセチン / CFD解析 / コイル塞栓術再開通 |
研究実績の概要 |
1) 未破裂脳動脈瘤に対するパロキセチンの増大抑制効果の検討 統計解析が完了し、データをまとめて論文投稿の準備を進めている。 J-ASPECT Studyの2010年から2019年までの退院登録症例において、パロキセチンを服用し、かつ未破裂脳動脈瘤の病名で登録されている症例やコイル塞栓を受けた症例を検索し、J-ASPECT Study事務局が当該施設に本研究への参加を呼びかけた。参加施設は、症例が適格基準を満たすかどうかを確認し、統計解析のためのデータを事務局に送付した。74施設が参加に同意し、275症例が対象となる可能性があると確認された。最終的に適格基準を満たした登録症例は、未破裂動脈瘤37例、コイル塞栓術後38例であった。これらを、未破裂脳動脈瘤の対照例396例、コイル塞栓後の対照例308例と統計的に比較した。脳動脈瘤の成長率(成長数/人・年)は、パロキセチン投与例で0.0309、非投与例で0.0947、成長長率(総拡大長/人・年)はパロキセチン投与例で0.0371mm、コントロール例で0.1218mmであった。多変量解析の結果、パロキセチンは増大の発生(リスク比0.16、95%CI 0.07-0.37)と増大率(リスク比0.46、95%CI 0.25-0.79)を有意に低下させた。また、Paroxetineは、コイル塞栓術1年後の再開通を有意に減少させた(オッズ比0.22、95%CI 1.02-20.6)。 2) CFD解析による脳動脈瘤増大に対する血行力学的予測因子の探索 CFD解析は、解析に問題があると考えられる症例全例に対して再解析を行い、全症例について正しい解析結果を得た。これに基づいて部位別の血行力学的分布の解析を施行中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響で遅延傾向にあり、令和5年度中に完了する見込みである。
|
今後の研究の推進方策 |
Drug for aneurysm studyについては、今年度前半に論文採択を目指す。今年中に未破裂脳動脈瘤についてのデータ解析とCFD解析の最終解析を行、論文投稿や学会発表を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染蔓延の影響で研究参加施設のデータ送付が遅延したため、次年度に予算を繰り越した。 また、CFD解析を行うための人件費および解析ソフト保守費用、論文投稿費用や学会発表費用に用いるため、次年度に予算を合わせて使用する予定である。
|