研究課題/領域番号 |
20K09344
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
菊田 健一郎 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (90332725)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ラット / 水頭症 |
研究実績の概要 |
2015年にJong-Seok Yoonらが発表したkaolinマウス側脳室内に投与するモデルを参考にラットモデルを開発した。230-250gのSprague-Dawley(SD)ラットまたはWister Kyoto雌ラットを用いる。0.2%イソフルラン吸入麻酔で全身麻酔をかけ、ラットを定位脳装置で頭部を固定し頭頂部に皮膚切開を行いBregma周囲の骨を露出する。ラットではBregmaから0.8mm右外側、1.6mm後方の部位にドリルにてburr holeを作成する。Burr holeより30ゲージ針で3.7mmの深度まで穿刺し、50μLシリンジを用いてiNPHモデル群では30%kaolin懸濁液30μLを、Control群では生理食塩水30μLを脳室内投与する。Burr holeをレジンで閉鎖し皮膚を縫合して手技を終了する。ラットkaolin側脳室内投与モデルについて既に基礎実験を終えていたが、成功率が20%程度にとどまっていた。2020-2021年度にかけてkaolinの投与量、超音波処置の条件を様々に変え、安定して作成する条件設定を行った。その結果水頭症発生率を80%以上に上昇させることに成功した。側脳室内投与モデルは水頭症発生に5週間で発生し長期生存が可能なモデルである。モリス水迷路試験ではControlラットに比べ水筒小ラットでは明らかな記名力低下が示されたが、Beams試験は明らかな運動麻痺の有意差を認めなかった。2022年度は本ラットモデルを論文発表するとともに、GFAP(アストロサイトマーカー)、NeuN(ニューロンマーカー)およびアミロイドβ、Tau、リン酸化Tauなど認知症関連蛋白、Glympatic system構成分子であるグルタミン酸トランスポーター(GLUT-1)およびアクアポリン4(AQP4)の発現の差異を免疫組織学的に検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新たに開発したラット水頭症モデルの発生率が低く2020-2021年度にかけてkaolinの投与量、超音波処置の条件を様々に変え、安定して作成する条件設定を行った。その結果水頭症発生率を80%以上に上昇させることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
ラットkaolin側脳室内投与モデルの成功率が20%程度にとどまっていたが、2020-2021年度にかけてkaolinの投与量、超音波処置の条件を様々に変え、安定して作成する条件設定を行った。その結果水頭症発生率を80%以上に上昇させることに成功した。側脳室内投与モデルは水頭症発生に5週間で発生し長期生存が可能なモデルである。モリス水迷路試験ではControlラットに比べ水筒小ラットでは明らかな記名力低下が示されたが、Beams試験は明らかな運動麻痺の有意差を認めなかった。2022年度は本ラットモデルを論文発表するとともに、GFAP(アストロサイトマーカー)、NeuN(ニューロンマーカー)およびアミロイドβ、Tau、リン酸化Tauなど認知症関連蛋白、Glympatic system構成分子であるグルタミン酸トランスポーター(GLUT-1)およびアクアポリン4(AQP4)の発現の差異を免疫組織学的に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:コロナ禍のため、学会出張での旅費を使用しなかった。 使用計画:次年度の論文校閲代として使用する予定である。
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