研究課題
本研究では三次元血流の定量化を可能とする新しいパラメーターとして、時間依存性のゆらぎ oscillatory velocity index (OVI)、ベクトルに沿った速度勾配flow velocity gradient (FVG)、速度勾配ベクトルの時間依存性ゆらぎ fluctuation FVG index (FFI)の計算式を作成した。これらの新しいパラメーターが高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙、経口避妊薬などの既知の脳梗塞危険因子や各種治療薬剤により受ける影響を検討した。更に、これらの新しいパラメーターが頚動脈狭窄症の脳梗塞発症や、狭窄の進行、潰瘍形成などのリスクと関連するか、現在までに蓄積した頚動脈狭窄症データベースで、後方視的に従来のパラメーターと比較検討した。血行力学的パラメーターがプラークの性状や狭窄度進行に寄与する機序としては、頚動脈の内皮細胞や平滑筋細胞におけるマイジェン活性化蛋白質キナーゼの活性化、炎症性サイトカインの誘導や誘導型細胞外基質蛋白分解酵素の活性化等が関与することが予想されるので、頚動脈狭窄症モデルにて分子生物学的に検討した。また、三重大学病院にサーバーを設置し、10病院以上の地域病院との間にVPNを利用した三重県頚動脈狭窄症ネットワークを構築した。頚動脈狭窄症データベースを作成し、血流・構造解析に基づく頚動脈狭窄症の脳梗塞発症リスクや、狭窄の進行、潰瘍形成などを予測する新規パラメーターの妥当性を前向き臨床研究で検討する研究を開始した。
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