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2021 年度 実施状況報告書

模擬微小重力環境で培養したヒト頭蓋骨由来間葉系幹細胞の脳梗塞ラットへの移植効果

研究課題

研究課題/領域番号 20K09348
研究機関広島大学

研究代表者

岡崎 貴仁  広島大学, 病院(医), 助教 (60437613)

研究分担者 弓削 類  広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (20263676)
栗栖 薫  広島大学, 医系科学研究科(医), 名誉教授 (70201473)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード間葉系幹細胞 / 脳梗塞急性期 / 模擬微小重力環境 / ヒト頭蓋骨 / ラット
研究実績の概要

動物実験用の麻酔器、顕微鏡、手術器具を用いて、脳梗塞モデルラットを安定して作成する方法を確立した。具体的には、イソフルラン吸入麻酔下に、頚部に1.5cm大の正中切開を加え、総頚動脈、内頚動脈、外頚動脈を露出した。総頚動脈、内頚動脈をミニクリップでクランプしたのち、切断した外頚動脈断端から内頚動脈に向かって、先端4-5mm長に0.37mm径のシリコンコーティングを行った4-0ナイロン糸を、頚動脈分岐部から16-18mmまで挿入し、右中大脳動脈起始部を2時間閉塞させた。ヒト頭蓋骨由来の間葉系幹細胞は、手術中に生じた側頭骨もしくは蝶形骨からの骨片から安定して樹立することに成功した。さらにhcMSCsを安定して樹立・培養・継代を行い、クリノスタット(微小重力環境細胞培養装置)を用いて、MG環境下と1G環境下で培養したhcMSCsを安定して樹立することができた。脳梗塞モデルラットへのMSCs投与を安定して施行することに成功した。具体的には、脳梗塞急性期(脳梗塞完成後12時間後)に、尾静脈から経静脈的に行った。投与細胞は1.0×1000000個を100μlで希釈した。PBS群、1G(1G環境下でhcMSCを培養)群、MG(MG環境下でhcMSCを培養)群の3群にわけて、移植後それぞれの運動機能を含めたmodified neurological severity score (mNSS)の評価を行ったところ、MG群は1G群と比較して有意に運動機能が回復した(最終的にPBS群: N=9、1G群:N=9、MG群:N=10で検討した)。梗塞巣の体積変化に関しては、3群において明らかな有意差は認めなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまで、脳神経外科での開頭手術を行ったなかで、計画していた期間内で、側頭骨もしくは蝶形骨の採取に対して、患者の同意を得ることができたため、研究に必要な量のヒト頭蓋骨由来の間葉系幹細胞を、問題なく樹立することができた。また、脳梗塞モデルラットに関しても、交付申請時の予定通り、約50匹を入荷し脳梗塞を作成し、計画した期間内で、統計学的検討が可能なサンプル数の回収ができた(PBS群: N=9、1G群:N=9、MG群:N=10)。梗塞巣の体積変化に関しては、評価に用いたMRIも問題なく、計画した通り順調に撮影することができた。ただ、新型コロナウイルス感染症の影響で、脳梗塞モデルラットを作成する際に使用する、先端4-5mm長に0.37mm径のシリコンコーティングを行った4-0ナイロン糸の入荷が若干遅れた。

今後の研究の推進方策

現在、脳梗塞モデルラットに対して、1G環境およびMG環境下で培養したhcMSCsを急性期に移植することで、MG群が1G群よりも脳梗塞後の運動機能が有意に改善することが分かった。そして、梗塞巣の体積変化に関しては、3群において明らかな有意差が無いことが分かった。今後の研究計画は、まず、それぞれの環境下(PBS群、1G群、MG群)で培養したhcMSCsを投与したラットの脳梗塞切片(day 35)を作成し、3群において、シナプス形成のマーカーであるsynaptophysinおよび神経マーカーであるtuj1に関して免疫染色を行う。これにより脳梗塞部や健常側における神経細胞やシナプス形成の分布を3群間で比較検討する。そして、実際の梗塞脳をday3とday35とday70で採取し、神経栄養因子であるnerve growth factor (NGF)やbrain-derived neurotrophic factor (BDNF)、GDNF (glial cell derived neurotrophic factor)や、軸索伸長をみるGap 43 (growth associated protein 43)、シナプス形成をみるSyp (synaptophysin)、血管新生をみる、Fgf2 (fibroblast growth factor 2)やVEGF (vascular endothelial growth factor)、神経アポトーシスをみるSort1 (sortilin 1)などの因子に関して、3群間(PBS群、1G群、MG群)で発現を比較検討する。MG環境下で培養したhcMSCsが、1G環境下で培養したものに比べ、これらの因子の発現が高まり、脳梗塞急性期ラットへの投与で機能予後を高めることを証明したい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症による影響で、学会等がweb開催となり、旅費交通費がかからなくなったため、次年度使用額が生じた。
次年度は、学会も現地開催となったため、学会発表の旅費交通費や、今後行う予定である遺伝子タンパク解析の試薬等に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 模擬微小重力環境で培養したヒト頭蓋骨由来間葉系幹細胞による脳梗塞モデルラットへの移植効果の検討2022

    • 著者名/発表者名
      桑原政志、岡崎貴仁、弓削 類、栗栖 薫、堀江信貴
    • 学会等名
      第21回日本再生医療学会総会

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公開日: 2022-12-28  

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