研究課題/領域番号 |
20K09363
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
園田 順彦 山形大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90302140)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Glioblastoma / recurrence pattern / TERTp変異 / FLAIR / ADC |
研究実績の概要 |
背景)膠芽腫は予後が絶対的不良な浸潤性腫瘍であり手術摘出+化学放射線治療を行っても全生存期間は18か月程度である。標準的な手術治療は造影領域の可及的な摘出であるが、造影領域を全摘出した症例においても全生存期間中央値は24か月程度である。膠芽腫は造影領域の周囲であるFLAIR/T2高信号域に腫瘍細胞が浸潤していることは古くから知られているが、その範囲は広汎であるため、神経障害の悪化を来たさずにFLAIR/T2高信号域をすべて切除することができる症例は限られる。T2/FLAIR高信号領域は腫瘍の浸潤部と脳浮腫が混在しているために、効率よく腫瘍量を減量するためには、腫瘍浸潤部と脳浮腫を画像上 鑑別することが重要である。我々は以前より、11C-MET-PETやMRIのADC値を用い鑑別を行っており、ADC値が低い部位から術後再発を来たすことを報告してきた。前年度の研究において我々はTERTプロモータ変異(TERTp変異)が、膠芽腫患者の予後だけでなく、診断時に多発性であること、再発時に遠隔再発することを明らかにした。またTERTp変異が腫瘍の浸潤性に関与する原因として、同時に見られる遺伝子変異がTERTp変異型ではPTEN-AKT経路に多いことも明らかにし腫瘍型が異なる可能性を示唆した。そこで本年度は画像に着目し、TERTp変異型と野生型に違いがあるかを浸潤性に着目し検討をおこなった。114例の膠芽腫のMRI画像をFLAIR画像、ADC画像、T1造影画像から検討したところ、FLAIR高信号の体積は両群間で明らかな差を認めなかったものの、ADC値では有意な差を認めた。また造影T1の体積も両群に差を認めなかった。以上よりTERTp変異型膠芽腫は造影周囲のFLAIR高信号領域に細胞浸潤が多く認められ、多発性、遠隔再発の原因となっていることが明らかなとなった。このことから、TERTp野生型は腫瘍の浸潤性も変異型に比較し軽度であることより、手術摘出を拡大することにより、予後の向上が期待されることが期待された
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は画像解析よりTERTp変異型膠芽腫の浸潤性を明らかにすることができた
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今後の研究の推進方策 |
TERTpの異常にはTERTプロモータ領域の変異に加え、メチル化も影響している可能性が示唆されている。今後は野生型に関してTERTpのメチル化と予後、再発形式に関しても検討予定
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は旅費がコロナウイルス感染症による学会の中止等で計上されなかった。また物品費は昨年度の購入分を引き続き使用したため予測を下回った。本年度は学会発表・論文作成にかかる費用が必要になると思われ、また、新たな研究計画を遂行する予定であるので、額面通りに使用する予定である。
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