研究課題/領域番号 |
20K09364
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 博崇 東京大学, 医科学研究所, 助教 (30863815)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ウイルス療法 / 脳腫瘍 |
研究実績の概要 |
がん治療用遺伝子組換え単純ヘルペスウイルスⅠ型であるG47Δの実用化を間近に控え、本研究では、膠芽腫マウスモデルをもちい、ウイルス療法における免疫細胞の動態を解析することで治療抵抗性の機序を解明するとともに、その解析に基づいた治療介入を行うことで治療抵抗性を克服し、幅広い患者に高い治療効果を示すウイルス療法の実現を目的とする。令和2年度は、ヒト膠芽腫脳内腫瘍マウルモデルに対するウイルス投与で集族する免疫細胞の解析を行った。具体的には、腫瘍細胞としてヒト膠芽腫の代表的細胞株であるU87MG細胞を用いた。ウイルス治療には、所属研究室で開発され、再発膠芽腫に対する第II相臨床試験で高い治療効果を示し実用化を待つ第三世代単純ヘルペスウイルスI型(HSV-1)(G47Δ)を用いた。はじめに、ウイルス感染細胞と初代培養免疫細胞を用いて、in vitroでの細胞遊走試験を行った。次にin vivoでの腫瘍力学動態の解析のためにU87MG細胞株にルシフェラーゼ発現遺伝子を導入した。樹立した細胞株を用いてヒト膠芽腫xenograftモデルに対して経時的なルシフェラーゼアッセイとMRIによる頭蓋内腫瘍体積の計測を行い、ルシフェラーゼ測定によって腫瘍体積を確認できる実験系を確立した。この実験系を用いてヒト膠芽腫xenograftモデルに対するG47Δの腫瘍内投与を行い、ウイルス療法における腫瘍力学動態の詳細な解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウイルス感染細胞と初代培養免疫細胞を用いて実施したin vitroでの細胞遊走試験では、初代免疫細胞がの培養が想定以上に難しく、また、予想していた実験結果は得られなかった。一方で、in vivoでの腫瘍力学動態の詳細な観察を可能とする実験系が確立され、次年度以降もその実験系を用いた実験を継続して行うための基盤は整いつつあり、全体として概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
脳腫瘍に対するウイルス療法における自然免疫細胞の動態を中心に、さらなる解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
金額の入力ミスのよる残額が生じたが、次年度のin vivo実験における消耗品費への補填を計画する。
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