研究課題/領域番号 |
20K09368
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
クー ウイミン 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (70591022)
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研究分担者 |
貴島 晴彦 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10332743)
福間 良平 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (20564884)
谷 直樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20598370)
山本 祥太 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (20795728) [辞退]
藤田 祐也 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (20839097)
押野 悟 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (40403050)
西 麻哉 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80837922)
柳澤 琢史 大阪大学, 高等共創研究院, 教授 (90533802)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | てんかん / 脳波fMRI同時計測 / 外科的治療 / てんかん関連ネットワーク / 頭蓋内脳波 |
研究実績の概要 |
本研究では、頭蓋内脳波-頭皮脳波-fMRI同時計測を用い、脳内高周波振動に関連したてんかんネットワークに対応した頭皮脳波上のElectrical fingerprintを生成し、非侵襲的な頭皮脳波- fMRI同時計測を用いたてんかん焦点とネットワークの同定における特異度を高め、外科的治療への応用を目指している。外科的治療目的で頭蓋内電極を留置する予定のてんかん患者を対象に、頭皮脳波-fMRI、頭皮脳波-頭蓋内脳波、頭皮脳波-頭蓋内脳波-fMRIを同時計測し、上記目的を達成する予定である。 頭皮脳波fMRI同時測定は本学附属病院の倫理委員会で承認を受けており、本研究の交付が決定されてすぐに頭蓋内電極を留置する予定の患者のリクルートを開始し、本学敷地内にある脳情報通信融合研究センターの協力をえて、現時点で39人に対して頭皮脳波fMRI同時測定を行った。そのうちの25人は、頭皮上のてんかん性放電が検出でき、それに関連した脳内の賦活部位を同定し、てんかん性放電に関連したてんかん焦点およびネットワークを描出した。 頭蓋内電極が留置されている患者のMRI撮影に備え、使用予定の頭蓋内電極や接続デバイスを用いて、MRI装置で安全性を検証するためにファンタムを用いた安全性実験を行ない、安全性が確認された。この安全性実験の結果をもとに、本学附属病院の倫理委員会より承認を得た。現時点ですでに8人に対して頭皮脳波-頭蓋内脳波-fMRIの同時計測を実施した。取得したデータを用いて、MRI由来のアーチファクトを除去し、脳内高周波振動を検出する方法を開発しているところである。 前述安全性実験より貴重なデータが得られたため、その結果をまとめて国際誌へ現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
頭皮脳波fMRI同時測定に関しては上記通り順調に進行している。 一方、頭蓋内電極が留置されている患者のMRIの撮影に関して、頭蓋内電極はMRI対応と明記されてない。先行研究の結果によると、この場合、使用予定の頭蓋内電極や接続デバイスを用いて、MRI装置で安全性を検証する必要がある。そのため、患者を対象とした頭皮脳波-頭蓋内脳波-fMRIの同時計測を行う前に、ファンタムを用いた安全性実験を行なった。その結果、安全性が確認された。この結果に踏まえ本学附属病院の倫理委員会に承認を得たが、頭蓋内電極が留置されているてんかん患者を対象とした頭皮脳波-頭蓋内脳波-fMRIの同時計測が予定より約1年間遅れている。今後、頭皮脳波-fMRI同時計測と頭皮脳波-頭蓋内脳波-fMRIの同時計測を継続しながら、得られたデータを用いて、脳内高周波振動を検出し、脳内高周波振動に関連したてんかんネットワークに対応した頭皮脳波上のElectrical fingerprintの生成を行なっていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
脳内高周波振動に関連したてんかんネットワークに対応した頭皮脳波上のElectrical fingerprintを生成する上で、頭皮脳波-頭蓋内脳波-fMRIの同時計測のデータが必要で、上記39人頭皮脳波fMRI同時計測した患者の中から、すでに8人は協力していただき、頭皮脳波-頭蓋内脳波-fMRIの同時計測のデータを取得したが、機械学習に必要なデータ量としては不十分で、今後も続けて協力していただける患者をリクルートし、データの取得をしていく予定である。 一方、新型コロナウイルスのパンデミックによる影響でてんかんの手術が減少する傾向で、頭蓋内電極が留置されている患者の数も減っているため、目標とするデータ量の取得に達成できない可能性が生じている。 その対策として、同意が得られた患者では、可能な限り計測する時間を増し、上記開発に使用する技術としての機械学習に必要なデータ量を増やす予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)頭皮脳波-頭蓋内脳波-fMRI同時計測を行うために必要な備品の購入が次年度になったため、また、初年度に必要な脳波-fMRI同時計測用消耗品が予定より少なく済んだため。 (使用計画)頭皮脳波-fMRI同時計測、頭皮脳波-頭蓋内脳波-fMRI同時計測を行なっていくために必要な備品と消耗品の購入、解析用のソフトウエアやコンピュータの購入、MRI使用料の支払い、被験者に対する謝金の支払い。
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