研究課題
本研究では、国内で実施された初の初発中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)に対する多施設共同第III相臨床試験(JCOG1114C)に登録された患者を対象に、手術で摘出(生検含む)された腫瘍標本を用いて、過去の国内外からの報告におけるPCNSLの分子遺伝学的予後因子について、NanoString法による遺伝子発現解析ならびに標的シークエンス(Ion Torrent multiplex PCR法による遺伝子変異解析、MGMT MSP法などを行う事で、これらを網羅的に検証し、予後因子ならびにmethotrexate(MTX)、temozolomide(TMZ)感受性規定因子としてのバイオマーカーを特定する事を目的とする。2020年度では、JCOG1114C試験に一次登録された全134例を対象とする本研究の詳細な実施研究計画書を策定し、JCOGプロトコール審査委員会に提出し、審査の結果承認された。研究代表施設である杏林大学医学部において、本附随研究の倫理審査を受け、その承認が2021年に得られたため、JCOG脳腫瘍グループ参加施設(30施設強)において、施設倫理審査を実施、承認された。患者から同意、あるいはオプトアウトによる試料提供のもと、まずはMGMT解析をMSP法およびpyrosequencing法で実施した。90%を越える登録例で解析が可能であった。2022年度にはその結果を基に、JCOGデータセンターにて予後データとの比較解析を実施した。主たる解析目的である、MGMT遺伝子プロモーター領域のメチル化の有無(程度)による全患者、及びTMZ治療群においての予後(PFS・OS)との関連については、有意な差は認められなかった。また解析に用いる各アッセイについて、各解析施設において予備的実験を進め、本解析を行う準備が整えられている。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Neuro-Oncology
巻: 25 ページ: 687-698
10.1093/neuonc/noac246