研究課題/領域番号 |
20K09376
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
田中 靖子 明治薬科大学, 薬学部, 講師 (20386452)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | AQP11 / 脳 / コンディショナルノックアウトマウス / 血管内皮細胞 / 病態モデル |
研究実績の概要 |
水チャネルであるアクアポリン(AQP)は哺乳類において13種類(AQP0からAQP12)が全身で発現している。これは、いかに生体の維持に水が必要であるかを示す指標の一つとなる。マウスにおいても同様に13種類のAQPが発現しており、なかでもAQP11は胎児期から脳、腎、胸腺を主として発現している。AQP11の役割を解明するために、従来型(cre-loxPシステム)でのAQP11欠損マウスを作成されてきたが、この従来型のAQP11欠損マウスの表現型は多発性嚢胞腎となり、生後1ヶ月以内に死亡する。このことはAQP11の役割を明らかにするためには研究上の大きな障害となり、AQP11欠損マウスの全身の形態変化を調べることが不可能であった。そこで、この問題を解決するために、脳で特異的にAQP11の発現を欠失させたコンディショナルノックアウトマウスを作成することで、多発性嚢胞腎に影響されずに脳でのAQP11の役割を明らかにすることが本研究の目的である。これによりAQP11を欠損させた成体の脳の表現型を明らかにすることができ、他のAQPとの関与の有無をこれまでとは違った状態で明らかにすることができる。さらにコンディショナルノックアウトマウスによるAQP11を欠損させた成体マウスを用いて脳梗塞マウスを作成し、これまでも申請者が取りかかっている脳浮腫や脳脊髄液代謝の制御とAQP11の関与を明らかにすることで、これまでとは別の手法で脳梗塞や脳浮腫の治療への具体的な応用へ発展させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
AQP11を特定の部位で欠損させるためのマウスを作成するために、まずは脳の血管内皮細胞で発現する遺伝子を選択することから開始した。候補は絞れてきたものの、成体になる前に発生段階で大きな影響を及ぼす遺伝子を選ぶべきではなく、現在はそれについて検討中である。コロナ禍において、学内の業務が膨大に増えてしまったこともあり、進捗は遅れ気味になってしまったが、現在、免疫染色を行う予定の野生型マウスの飼育および、その環境についての不調はない。次年度は確実に遺伝子を決定できるよう脳切片の作成と免疫染色に励むのみである。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に試さなかった脳の血管内皮細胞、その他AQP11が発現する脈絡叢で発現する遺伝子を選び、免疫染色を行うことでコンディショナルノックアウトマウスのプロモーター領域を使用する遺伝子を選択する。その他、前年度に行うことができなかったFloxed変異マウスの作成、上記で選んだ遺伝子におけるCre発現マウスの作成を進める。 現在のところ、研究計画の変更は必要ないと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が遅れたことによる試薬の未購入。今年度、遅れた分を予定通り行うので、抗体およびコンディショナルノックアウトマウス依頼に使用する。
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