研究課題
頭蓋内胚細胞腫瘍(iGCT)は稀ではあるものの特に本邦で多く発症する頭蓋内悪性腫瘍群であるが、その中でも高悪性度群である非ジャーミノーマ胚細胞腫 (NGGCT)に対する有効な治療法は未だ存在しない。そこで我々が設立したiCGT consortiumに集められたiCGTサンプル群に対しメチル化アレイによる網羅的解析を行った結果、iGCTのなかでも特にNGGCT群で特異的に機能している可能性のあるmiR群を同定し得た。そこで今回はそれらの機能解析を行うことにより最終的にNGGCTに対する新規分子治療標的の開発を目指した。網羅的メチル化解析の結果得られた3つのmiRの2つのヒト非ジャーミノーマ胚細胞腫(NGGCT)培養細部株における機能解析を行い、これらの3つの miRはNGGCTの腫瘍特性を制御している可能性が示唆された。 そこでこれらのmiR群を発現させた2つのNGGCT細胞株を用いて網羅的解析によるNGGCTの治療標的分子シグナル/分子と新規治療標的薬剤の同定を行ったところ、幾つかのミトコンドリア依存的細胞死の制御に関わる分子を標的とした候補薬剤の新規治療薬としての可能性が示唆された。それらの薬剤の治療効果判定をin vitroで行ったところ、幾つかのNGGCT培養細胞株で単剤の処理(0.1~10μM濃度下で)のみで濃度依存的に細胞死が誘導されることを確認したため、更にin vivo治療モデルでの治療効果の検証に移行した。今季では、この治療モデルを完遂すべく実験を行った、候補薬剤はいずれもヌードマウスを用いた頭蓋内腫瘍細胞移植モデルマウスに対し腹腔内投与もしくは静脈内投与ににて全身投与が行われが、恐らくは血液脳関門の問題によりこれらの薬剤は有効腫瘍組織内濃度に到達する前にモデルマウスに対し致死量となってしまい明らかな治療効果を証明することが出来なかったため、実験終了とした。
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