研究課題/領域番号 |
20K09381
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
青木 友浩 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40633144)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 脳動脈瘤 / くも膜下出血 / マクロファージ / 好中球 / 慢性炎症 / 創薬 |
研究実績の概要 |
本研究計画では、現在存在しない脳動脈瘤の新規の治療薬を創製するという最終目的を達成するために、脳動脈瘤の増大や破裂機構の解明を通して新規創薬標的を同定することを目的としている。 令和2年度は、新規に樹立した誘発した脳動脈瘤の自然破裂によりくも膜下出血を発症するモデルラットを使用し、網羅的遺伝子発現解析や病理組織学的検討、薬理学的検討を組み合わせることで、破裂過程での好中球の寄与を見出した。さらに、好中球に発現し創薬標的候補となり得る因子も複数同定した。脳動脈瘤の増大においては、頸動脈の端側吻合により血管分岐部を作成しそこに動脈瘤を誘発する新規のモデルラットを確立した上で検討を進めた。その結果、低ずり応力と乱流の負荷の下でマクロファージの浸潤が誘導され病変の増大に寄与することを示唆する所見を得た。また、この病変の増大過程を制御する候補因子としてCCN1等いくつかの因子を同定した。さらに、候補因子について当該遺伝子の欠損ラット系統の樹立を行った 引き続き、脳動脈瘤の増大や破裂にマクロファージや好中球の寄与が示唆されたことに基づき、果たしてどのような分画が存在しているのか、どの分画が病態を制御するのか、そしてどの分画が将来的な創薬や診断の標的となるのかを検討することとした。そして、令和2年度は、マクロファージと好中球の分画を同定するためのレーザーマイクロダイセクション併用単細胞RNAシーケンス解析の予備検討を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳動脈瘤の増大および破裂機構の解析を当初計画通り遂行し成果を得た。
|
今後の研究の推進方策 |
脳動脈瘤の創薬標的の同定と新規リスク評価指標の確立のために、単細胞RNAシーケンス解析によりマクロファージと好中球の分画を同定する。そして、それぞれの分画を特徴付ける遺伝子ないし遺伝子群の同定と、それぞれの病態への意義を検証する。また、昨年度に同定した病態制御因子の候補につき、当該因子の遺伝子改変ラットの樹立も含め病態への寄与についての検討を進める。並行し、研究成果をヒトへ外挿するために、ヒト脳動脈瘤の手術摘出標本の集積を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
一部の検討につき、コロナ禍のために次年度の検討とせざるを得ないものがありそのために翌年度分として請求した。研究内容としては、RNAシーケンス解析であり令和3年度に実施する。
|