研究課題
パーキンソン病や脳虚血といった中枢神経疾患は,Quality of Life (QOL)の低下をもたらし, ひいては健康寿命の延伸を妨げる。臨床現場における低侵襲化の流れにあわせ,近年, 基礎研究の現場でも, 迷走神経刺激(vagus nerve stimulation:VNS)や脊髄刺激(spinal cord stimulation: SCS)を中枢神経系疾患モデルに対して行い治療効果を得ることができるという報告が増えている。しかし、いまだVNS・SCSといった電気刺激療法が、どのようなメカニズムで治療効果をもたらすという点については,まだ十分解明されていないのが現状である。中枢神経系疾患の代表例の一つであるパーキンソン病モデルに対して,最近の臨床の流れを意識した低侵襲,かつ実際の人の生活に近づけるべく覚醒下持続刺激という2点をクリアさせる形で,SCSによる覚醒下持続刺激を行い治療効果を検討した。8時間刺激群と24時間刺激群は、対照群に比べて有意な行動学的改善を示した。加えて,両SCS刺激群では、対照群と比較して、組織学的効果も認められた。特に、24時間刺激群で組織学的効果が顕著であった。さらに、24時間刺激群では、対照群に比べて線条体およびSNcにおけるミクログリアの数が有意に減少し、大脳皮質のラミニン陽性領域が増加していた。PDモデルに対するSCSの行動学的および組織学的効果は時間依存性であり,おそらく抗炎症および血管新生メカニズムを介していると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
上記研究内容が英文誌に受理されたため。
現在,我々は,メーカーと共同開発した小型体外固定式電気刺激装置を用いることで,刺激強度を様々に振って覚醒下に連続刺激が可能な状況にある。中枢神経系疾患というものは,パーキンソン病のみならず,脳虚血・てんかんなど様々なものがある。これら中枢神経疾患に対して,疾患別に電気刺激の方法(刺激部位・刺激のパラメタ)を様々に組み合わせる形で,治療効果と低侵襲化を両立できる刺激方法を引き続き検討していく。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (37件)
Acta Medica Okayama
巻: 75(2) ページ: 243-248
CNS Neuroscience & Therapeutics
巻: 26(6) ページ: 592-602
10.1111/cns.13247.
Future Oncology
巻: 16(6) ページ: 151-159
10.2217/fon-2019-0743.
Scientific Reports
巻: 26;10(1):3507 ページ: ー
10.1038/s41598-020-60377-9
Frontiers in Aging Neuroscience
巻: 16;12:164. ページ: ー
10.3389/fnagi.2020.00164
AJNR Americal Journal of Neuroradiology
巻: 41(11) ページ: 2082-2087
10.3174/ajnr.A6790.
脳神経外科ジャーナル
巻: 29(10) ページ: 726-734
脊髄外科 SPINAL SURGERY
巻: 34(3) ページ: 317-319