研究課題/領域番号 |
20K09392
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
秦 暢宏 九州大学, 大学病院, 講師 (10596034)
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研究分担者 |
溝口 昌弘 九州大学, 医学研究院, 准教授 (50380621)
空閑 太亮 九州大学, 大学病院, 助教 (40759932)
波多江 龍亮 九州大学, 大学病院, その他 (20570774) [辞退]
三月田 祐平 九州大学, 大学病院, 助教 (00848640)
樋渡 昭雄 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30444855)
栂尾 理 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10452749)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | liquid biopsy / glioma / IDH / TERT / H3 / CSF / molecular diagnosis |
研究実績の概要 |
脳脊髄液には神経膠腫由来のct-DNAが存在することが知られていたが、従来はそのような微量な核酸では、正確な解析を行うことは困難であった。我々はdigital PCRシステムを用いた解析法を開発して、グリオーマで重要とされるドライバー変異:IDHR132H,TERT promoter mutation,H3K27M mutationに対して、digital PCRのプローブを設計して、各々の変異を高感度で検出することに成功した。以上の研究内容を”Molecular diagnosis of diffuse glioma using a chip-based digital PCR system to analyze IDH, TERT, and H3 mutations in the cerebrospinal fluid”として、論文化した(J Neurooncol. 2021 Mar;152(1):47-54. doi: 10.1007/s11060-020-03682-7.) 以上の研究を踏まえて、実際の臨床で採取した髄液を用いて、術前診断に繋げる試みを導入しており、一部の患者では臨床に役立つ知見を得られるようになってきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は既に2021年に最初の論文化に繋がる成果を挙げており、今後も本研究の進展が期待できるため
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今後の研究の推進方策 |
バイオマーカーとしての髄液中の遊離核酸の利用法の確立を目指すべく、digital PCRで検出可能となったct-DNAに対し、術前から手術後の治療経過にかけて、その推移を定量する。MRI画像検査などから判断した治療反応性や病勢とct-DNA量の推移を比較検討する。具体的には、下記の要領で進行する。(1)腰椎からの髄液より遊離核酸を抽出し、digital PCRでct-DNAを定量する。(2)悪性脳腫瘍群と対照群との間でその頻度の差を統計学的に検討すると共に、様々な臨床マーカー(KPS、病理組織学的分化度、画像所見)の相関を検討する。(3)術前、手術中、術後、放射線化学療法中、治療終了後、再発時といった、 臨床的イベントに際しての解析を経時的に行うことで、バイオマーカーの動態を詳細に把握して、以下のような評価を行う A)術前後の定量的な変化と、その後の治療経過や予後との相関 B)放射線化学療法中の動態と、治療反応性との相関 C)再発までの経過中の動態により、再発予測性の評価 特に、髄液中の遊離核酸の検出は、遠隔再発や播種といった臨床経過を早期発見するために有用なマーカーとなる可能性があるため、各症例での臨床経過を詳細に追っていき、相関を詳細に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ今年度予算を使用した研究を進めたが、ごく少額の残金については次年度繰り越しの上で使用することとした
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