研究課題/領域番号 |
20K09397
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
松田 豪 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 助教 (70501641)
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研究分担者 |
小笠原 邦昭 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00305989)
佐々木 真理 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 教授 (80205864)
上野 育子 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 講師 (20468317)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Arterial Spin Labeling / vessel suppression / DANTE法 / MSDE法 / 画像均一性 / 信号ノイズ比 |
研究実績の概要 |
開発したDelay Alternating with Nutation for Tailored Excitation (DANTE)法とMotion Sensitized Driven Equilibrium (MSDE) 法の2種類の血管信号抑制パルス(vessel suppression: VS)を使用したArterial Spin Labeling (ASL)法を3名のボランティアで撮像し、信号を解析した。ASL元画像の静止部の信号強度比は、昨年度に実施したファントム実験と同様の傾向の結果が得られ、DANTE法はMSDE法に比べ高い信号雑音比(SNR)を示した。これはMSDE法では画像収集までのタイミングが延長することで信号強度の低下が生じることが原因と考えられた。またMSDE法の静止組織内の水信号低下効果も、信号強度低下の一因として考えられる。信号抑制効果に関してはDASNTE法が均一な抑制効果を示した。これはDANTE pulseで使用されるラジオ波(RF)の強度がMSDE法に比べて低いために、RF波の不均一性が画像に及ぼす効果が低いことと、MSDE法では複数のRF波から信号を生成するためにRF波の不均一効果が重積することにより信号強度がDANTE法よりも不均一になったと推測される。 ボランティアによるASL画像では、ファントム実験同様の傾向の結果が得られた。DANTE2とDANTE4の比較ではDANTE4で高い信号強度の画像を得ることができた。従って以降の検討ではDANTE4を使用した。もやもや病疾患を有する2名のボランティアによるASL画像でも、ファントム実験ならびにボランティア同様、DANTE法がMSDE法よりも高い信号強度の画像を得ることができた。しかしラベルされた血液による残存血管内信号は両手法でも目立たなかったために、十分に検討する事ができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MRI撮像シーケンス開発ソフトウェアを用いて、DANTE法とMSDE法の2種類のパルスを切り替えて使用できる多時相ASL撮像シーケンスを開発した。静止ファントムとフローファントムをもちいて撮像パラメターの調整と改良をおこなった。 疾患を有するボランティアに関しては、COVID-19による患者数の減少により検査数が計画より少なかったが、ボランティアともやもや病疾患を有するボランティアで本研究手法の基礎的な検討を、ほぼ計画通りにおこなうことができた。 得られた画像を解析することで開発手法が期待通りに動作していることと、その性能を確認することができた。以上の結果より、疾患を有するボランティアの検査プロトコールを決定した。
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今後の研究の推進方策 |
疾患を有するボランティアの症例を積み重ねる。 症例数が10例以上となった時点で脳血流量脳血流量(cerebral blood flow, CBF)の計測精度を検証する。 またASLの信号が脳組織に到達する時間(label transit time, LTT)も算出し、血管内信号の残留効果を検証する。 症例数が順調に集まれば、合併症等とCBF、LTTとの関連性を検討し、脳循環予備能の診断能について特異性等があるのかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19により予定していた会議がオンラインもしくは延期となったために、使用金額の大幅な変更があったために次年度使用額が生じた。検査データーごとに保存する媒体が必要となるので、そのための経費に使用する。
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