研究課題/領域番号 |
20K09408
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西谷 江平 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (70782407)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 変形性関節症 / 軟骨損傷 / 細胞死 / 小胞対ストレス / 炎症性サイトカイン |
研究実績の概要 |
大腿骨・脛骨間に繰り返しストレスを加えるCyclic compressionモデルを、ラットを用いて作成し、このモデルは6ヶ月では大腿骨、脛骨の軟骨変性、半月板の変性も見られ、外傷性軟骨損傷から変形性関節症へと至るモデルであることを確認した。このモデルに対して、Cyclic compression前から細胞死抑制効果のある新規化合物であるKUS121を投与したところ、2週、4週で軟骨保護効果が確認された。軟骨保護効果の機序として、小胞対ストレス応答の軽減による、軟骨細胞死抑制効果が確認された。同時に、炎症性サイトカイン抑制効果や、蛋白分解酵素抑制効果も確認された。しかし術後1日を経てからKUS121を投与しても、軟骨保護効果は確認されなかった。軟骨細胞死の経時変化を知るため、Cyclic compression後ごく早期の細胞死を蛍光染色で確認すると、受傷後3時間程度から軟骨細胞死が確認され、6時間後から生細胞も減少していた。このため、受傷後早期にKUS121を投与して軟骨細胞死を抑制する試みを始めている。また、Cyclic compressionモデル以外の外傷性変形性関節症モデルである、内側半月板部分切除モデルにおいても、KUS121の効果による軟骨保護効果を検討した。内側半月板部分切除モデルは受傷後2週、4週で軟骨変性を来すことを確認し、またこのモデルにおいては術後1日からのKUS121の投与によって炎症性サイトカイン抑制効果や、蛋白分解酵素抑制効果があり、結果的に軟骨細胞死や軟骨変性を抑制できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラットでの、大腿骨・脛骨間に繰り返しストレスを加えるCyclic compressionモデルを確立し、このモデルが外傷性軟骨損傷から、関節全体の変性を伴う変形性関節症へと至るモデルであることを確認した。このモデルに対して、細胞死抑制効果のある新規化合物であるKUS121を投与し、軟骨保護効果を確認した。しかし受傷翌日に投与しても効果がみられなかったため、軟骨細胞死の経時的変化を確認し、より早期の投与が必要であることがわかった。一方で別の外傷性変形性膝関節症モデルである内側半月板部分切除モデルにおいては、KUS121の受傷翌日の投与で軟骨細胞死抑制作用、軟骨保護作用が確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
外傷後軟骨細胞死を防ぐために適切な投与タイミングと投与期間を得るため、受傷早期における遺伝子・タンパク発現の検討を行い、外傷後どの時点からどの時点まで、どの作用に対して介入すれば最も効果的に軟骨保護作用を得られるかを検討したいと考えている。Cyclic compressionモデルでの検討が難しければ、術翌日投与での効果が確認できた内側半月板部分切除モデルで検討することも考慮する。
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