研究課題
大腿骨・脛骨間に繰り返しストレスを加えるCyclic compressionモデルによる軟骨損傷モデルを、ラットを用いて作成した。このモデルは6ヶ月、12ヶ月では大腿骨、脛骨の軟骨変性、半月板の変性も見られ、外傷性軟骨損傷から変形性関節症へと至るモデルであることを確認した。このモデルに対して、Cyclic compression前から細胞死抑制効果のある新規化合物であるKUS121を投与したところ、2週、4週で軟骨保護効果が確認された。軟骨保護効果の機序として、小胞対ストレス応答の軽減による、軟骨細胞死抑制効果が確認された。同時に、炎症性サイトカイン抑制効果や、蛋白分解酵素抑制効果も確認された。しかし術後1日を経てからKUS121を投与しても、軟骨保護効果は確認されなかった。軟骨細胞死の経時変化を知るため、Cyclic compression後ごく早期の細胞死を蛍光染色で確認すると、受傷後3時間程度から軟骨 細胞死が確認され、6時間後から生細胞も減少していた。このため、外傷性軟骨損傷では受傷後早期に軟骨細胞死を抑制できるかどうかが肝であると考えた。また、Cyclic compressionモデル以外の外傷性変形性関節症モデルである、内側半月板部分切除モデルにおいても、KUS121の効果による軟骨保護効果を検討した。内側半月板部分切除モデルは受傷後2週、4週で軟骨変性を来すことを確認し、このモデルにおいては術後1日からのKUS121の投与によって炎症性サイトカイン抑制効果や、小胞対ストレス応答の軽減、蛋白分解酵素抑制効果があり、結果的に軟骨細胞死や軟骨変性を抑制できることを確認した。
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Arthritis and Rheumatology
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10.1002/art.42424.