研究課題/領域番号 |
20K09411
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
内尾 祐司 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (20223547)
|
研究分担者 |
松崎 有未 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (50338183)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 変形性関節症 / アルギニン酸ゲル / REC |
研究実績の概要 |
本研究の目的は高品質高純度ヒト間葉系幹細胞RECを高純度アルギン酸ゲル内に包埋し、OA動物モデルに投与し、アルギン酸ゲル包埋RECによるOAへの治療効果を検証し、DMOADとしての有効性と安全性を明らかにすることである。今年度の実績を以下に記す。ヒト骨髄細胞よりRECを分離した。ヒト正常軟骨細胞、滑膜細胞を使用(白人種)を用いて、24well plateを使用し、2.0*104ずつ播種した。炎症刺激は IL-1β 2ng/mlを使用し、共培養は穴あきのインサートにRECも2.0*104播種した。24時間後にRNA回収して、real-time PCR GAPDHを用いたΔΔCt法でMMP-3、IL-6、TNF-αのmRNAの発現を調べた。その結果、 IL-1β で軟骨細胞および滑膜細胞のMMP-3、IL-6、TNF-αのmRNA発現が亢進するが、REC共培養によるこれらの発現を抑制できなかった。一方、日本白色家兎の前十字靱帯切離を行ったOAモデルにアルギニン酸包埋RECを移植し、4週後関節を取り出し、肉眼的、組織学的評価と力学的評価を行った。肉眼的にはRECはOAを抑制しているように見えたが、組織学的・生体力学的には有意な差を見いだすことはできなかった。しかし、マクロファージにRECを共培養するとマクロファージタイプ2の割合が増えることがセルソーティングで明らかになった。これらの所見からRECが修復型マクロファージタイプ2を活性化させる可能性があって、軟骨細胞や滑膜細胞に直接的には影響を与えないかもしれないが、炎症・免疫系細胞を介して間接的にOAの修復に働く可能性があると考えた。このため、目下、RECの細胞条件、至適ロットの選定を探索するとともに、炎症・免疫系細胞に対しての共培養を行い、炎症性サイトカイン刺激時の炎症・免疫系細胞のサイトカイン発現を検討中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RECがマクロファージタイプ2を増加させる新たな所見を見いだした。今後、細胞至適条件の探索が必要であるが、OAの修復の可能性を与える新知見であると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
マクロファージにRECを共培養するとマクロファージタイプ2の割合が増えることがセルソーティングで明らかになった。この所見から、RECが修復型マクロファージタイプ2を活性化させる可能性があり、至適環境ではOAの修復に働くと考えられ、目下、RECの細胞条件、至適ロットの選定を探索するとともに、炎症・免疫系細胞に対しての共培養を行い、炎症性サイトカイン刺激時の炎症・免疫系細胞のサイトカイン発現を検討中である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実験動物舎の改修工事のため、一時的にウサギを用いた実験ができなくなった。現在は、改修工事が終了したので、これから来年度にかけて、vivoの実験を進めていく予定である。
|