研究課題/領域番号 |
20K09423
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
日野 純 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40260351)
|
研究分担者 |
宮里 幹也 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (50291183)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 肥満 / 脂肪細胞 / 脂肪肝 / BMP-3b / Tg / エネルギー消費 |
研究実績の概要 |
本年度は、BMP-3b Tg(Tg)の高脂肪食(HFD)における肥満や脂肪肝抑制作用及び普通食(14週齢)における体重減少(脂肪細胞小型化を伴う)、エネルギー消費亢進の作用機序解明を実施した。普通食は、30週齢ついても新たに検討した。Tgの体重はWtと比較し、16週目まで減少し、17週齢以降から30週齢に至るまでは同等となった。しかし、脂肪組織重量は30週齢でも減少し、BMP-3bの週齢、肥満病態に依存しない脂肪組織への作用が示された。BMP-3bは、PPARγ発現量を抑制し、脂肪細胞に作用するので、その変動を調べた。14週齢の皮下脂肪では、同様に発現抑制されていたが、それ以外(30週齢も含む)の脂肪組織では、変動がないあるいは逆に増加している場合もあり、脂肪組織の種類や週齢による作用機序の違いが示唆された。一方、肝臓組織重量は、遺伝子型による差はなかった。次に、HFDの肝臓にて変動のあった脂質、糖質代謝系の変化を調べると、14週齢のTgでは、Acox1, Acadm(共にβ酸化酵素)が減少しており、HFDの場合とは反対の変化であった。また、30週齢では、上述は変動がなく、Acadl(β酸化酵素), Gck(グルコキナーゼ)が減少していた。脂質が過剰なHFDと比較して普通食は脂質が少ないので、脂質代謝系への変化が異なることは予想されたが、GcKという解糖系の第一ステップの酵素の減少は興味深い。肝臓のGcKは解糖系を亢進し、血糖低下となる為、その活性化剤が糖尿病治療薬となりその開発が進んでいる。一方、最近の報告では、GcKの肝臓での過剰発現では、BATの機能低下(熱産生減少)が生じ肥満になることが示されている。そこで、Tg のBATの解析をすると熱産生に重要なPGC-1αやUCP1の増加が認められ、肝臓-BATによるBMP-3bの新たなエネルギー消費亢進作用が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要に示したように概ね順調に進展している
|
今後の研究の推進方策 |
本課題で着目している2種の骨代謝調節因子として本年度はBMP-3bに着目して検討を実施したが、次年度はCNPの機能について解析を行う。本課題の原点となる「骨代謝と肥満」「骨代謝を中心とした肥満制御」において、脂肪組織に加え肝臓をその標的としているが、最近着目されている肥満誘導性の脂肪肝炎からの腎障害における作用についても検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度の前半において、前年度までに購入していた物品も併用しながら研究を実施したため。
|