研究課題/領域番号 |
20K09424
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター) |
研究代表者 |
福士 純一 独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 整形外科・リウマチ科担当部長 (40444806)
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研究分担者 |
松本 嘉寛 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10346794)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨・関節破壊 / コラーゲン代謝 / MMP-2 |
研究実績の概要 |
MMP2遺伝子の不活性型ミスセンス変異は、ヒトにおいて多関節の関節破壊と骨粗鬆症を呈する多中心性骨溶解症(Winchester症候群)を生じる。ムチランス型の 関節リウマチに類似した病態が、プロテアーゼの不活性型変異で生じることは興味深いが、その分子機序については全く明らかとなっていない。最近になって、 MT1-MMP遺伝子変異によっても骨溶解症が生じることが報告され、変異型MMP2がMT1-MMPの機能を抑制することが想定される。遺伝子改変マウスおよび骨溶解症患者由来iPS細胞を用いて、MMP2/MT1-MMP機能不全が骨関節におよぼす影響とその分子機序を解析することが本研究の目的である。 先行研究において、ベータアク チンをプロモーターとした変異型MMP-2のトランスジェニック(Tg)マウスを作成したところ、繁殖能力を持たず、解析ができな かった。本研究では、ヒト疾患に より近い遺伝的環境を構築すべく、入手可能なMMP2遺伝子欠損マウス(理研BRC)に、骨特異的に変異型MMP-2を発現させることを 計画した。 MMP-2は細胞膜上のMT1-MMP/TIMP-2と三量体を形成した後にプロペプチドの切断を受け、部分活性型(64kDa)となり三量体から遊離する。変異のためにプロペプチ ドが切断されないと、MT1-MMPは変異型MMP-2に占拠され、その機能が抑制されると考えられる。動物実験の予備実験として、HEK293細胞に変異型MMP-2、TIMP2お よびMP1-MMPを強制発現させ、MT1-MMPの基質であるI型コラーゲンやRANKL、特異的蛍光基質を用いてその活性変化の検討を行った。 変異型MMP-2はMT1-MMPと結合することを確認した。さらに、変異型MMP2を共発現させる ことで、MT1-MMPによるMMP2の活性化が阻害されることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞培養の条件が不安定となっており、実験の再現性が低下しているため。
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今後の研究の推進方策 |
細胞培養条件を安定化させ、in vitroの実験計画を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞培養条件が整わず、消耗品を用いたin vitroの実験の一部が未遂行なため。次年度に実験を遂行する見込みである。
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